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異伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(ヴァレンシュタイン伝)
異聞 第四次ティアマト会戦(その6)
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リヒテンラーデ侯に極秘に会った? どういう事だ? 国務尚書に極秘で会うなど簡単にできる事ではない。ルーゲ伯とはそれが出来る実力者ということか。 それほどの人物が少佐の後ろにいる? ますます分からない。確かにフレーゲル男爵の言うとおりだ。

「新無憂宮の南苑の一室で二人は有っていた。その事に気付いた人間が私に教えてくれたのだ。彼の話では二人の声が大きくてそれで気付いたらしい。話の内容は分からなかったが怒鳴り合いに近い話し合いだったようだ」
「……」
ルーゲ伯とリヒテンラーデ侯が極秘に会っていた、怒鳴り合い……。

「実を言うと私が最初に知ったのはこれなのだ。それで不思議に思ってルーゲ伯の行動を調べた」
そしてルーゲ伯がリヒテンラーデ侯に会う前に軍務尚書に有った事を知った。そういう事か……。

「つまり国務尚書が軍務尚書に圧力をかけ、ヴァレンシュタイン少佐を転属させた……」
フレーゲル男爵が満足そうに笑みを浮かべている。良く出来ました、とでも褒めたいのだろう、一々癇に障る奴だ。

「残念だな。半分は正しいが、あとの半分は誤りだ。エーレンベルク元帥は国務尚書の圧力に屈しなかった」
「……」
「しかし、その後少佐は転属している」
「……つまり軍務尚書、エーレンベルク元帥を動かした人間が他に居るという事か」

俺の言葉にフレーゲル男爵が頷いた。軍務尚書は国務尚書の意向に従わなかった。そして国務尚書は他の誰かを使って軍務尚書を動かした……。一体誰だ? 国務尚書が動かせる人物、そして軍務尚書を動かした人物……、その二つの交わるところに居るのは……、まさか……、有り得ない、しかし有り得ない事と言い切れるのか……。

キルヒアイスを見た。顔が強張っている。おそらく俺と同じ事を考えたのだろう。フレーゲル男爵に視線を戻した。男爵もじっと俺を見ている。もう笑ってはいない。
「有り得ぬ事ではある。しかし……、他には考えられぬ……」
「陛下が、……動いた……」
「そういう事であろうな」
俺の言葉にフレーゲル男爵が頷いた。口調も呟く様な口調に変わっている。

少しの間、誰も話さなかった。どうも腑に落ちない。ルーゲ伯爵は何故そこまで少佐のために尽力するのか? そしてリヒテンラーデ侯、国務尚書が何故それに協力するのか……。しかもフリードリヒ四世を動かした……、ヴァレンシュタイン少佐には何が有る……。

「どうだ、分からぬであろう」
「確かに……、キルヒアイス、どう思う」
問いかけてからしまったと思った。キルヒアイスも困った様な顔をしている。フレーゲル男爵が笑い出した。
「構わぬぞ、私に遠慮は無用だ。たまには平民の意見も役に立つかもしれん」

相変わらず嫌な奴だ、だがこれでキルヒアイスも話に加われる。
「キルヒアイス、お前の考え
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