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横浜事変-the mixing black&white-
逆転不能なときでも、一時の救世主くらいなら助けに来てくれる
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そこには白い特攻服を着た女性が拳銃を構えた姿勢で立っていた。銃口からは僅かに硝煙が上気している。
「法城、それはリーダーに対する反逆行為だっていうのは分かってる?」
大河内の方を見ると、すでに彼は法城の頭を鷲掴みにして静かに語りかけていた。それでも黄緑パーカーの青年はその腕を無理矢理押しのけ、バックステップの要領でチームBの方に下がってきた。その間に攻撃する猶予があったにも関わらず、大河内もヘヴンヴォイス達も動かない。完全に勝利を手にしたものだと考えているのだろう。
大河内一人とヘヴンヴォイス、裂綿隊に挟み込まれた殺し屋統括情報局殺し屋メンバー。このままだと死ぬ、とケンジは悟った。しかし彼の肩をポン、と叩く者がいた。顔を見上げると、宮条が真剣な、それでいて優しげのある笑みを作っていた。
「諦めるのはまだ早いわよ」
*****
左右の道を敵に塞がられた中、赤島は焦る様子もなく大河内に話しかけた。
「大河内ぃ、お前猫って好きか?」
「何の話ですか?まさかこの期に及んで時間稼ぎだなんて言いませんよね?そういうのはドラマだけにしてほしい」
赤島と話すときは敬語を使う大河内だが、その言葉に
恭慶
(
きょうけい
)
の念は感じられない。化けの皮を被っていたときの彼ならまだしも、すでに正体が発覚した今では、彼の敬語も見下しの一部として成り立っていた。
しかし赤島はそれを黙殺し、頭をぶっきらぼうに掻きながらさも面倒そうな口ぶりで言葉を吐き出していく。
「猫は気難しくて気品の高い生き物でよ。自分の思うがままに動くわけだ。ちゃんと飼い主がいないと、奴は歯止めのきかない暴走野郎になっちまう」
「……で?」
「だから俺は思うんだ。この場合、アイツは命令でここに来たのか、それとも猫のように気分で現れたのか」
その言葉が途切れた直後、裂綿隊とヘヴンヴォイスの群れから無数の叫び声が生まれた。だが、それはこの世に芽生えた新しい命の産声などではなく、死に近付いた者だけが放つ絶叫だった。
そして、それらに隠れるような形で連続的に繰り返される銃声。サプレッサーで軽減されたそれは赤島や大河内にとって馴染み深いものだった。
彼らはその場から散開し、襲撃を食らった方向に武装を掲げた。そこは彼らの一つ斜め後ろに立つ二階住宅だった。赤島は吐息を漏らし、それから安堵に近い苦笑いを顔に作り出した。
「ったく、おせえよ」
その集団は屋根から何の気兼ねもなく飛び降り、軽い足取りで地面に着地した。そして一人が不機嫌そうな顔をしてカスタム化された黒銀の銃を敵に向けた。
「あたし眠いんだけど。それでもここまで来てやったんだから、タダで済ませる気はないよ?」
そこにいたの
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