魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり4
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、回復力は大幅に減弱するのだ。だから早急に修復する必要があった。しかし、
「まぁな。だが……覚えているか? どうやって禁術の代償を修復したかを」
あの状況下で、リブロムを『使えた』のはおそらくなのはしかいない。ならば、心臓を修復したのはこの娘だろう。
「えっと、確かリブロム君の涙で……」
「正しくは雫だな。まぁ、涙に見えるだろうが」
肩をすくめてから、一応訂正しておく。
「あの雫がないと修復できないんだ」
「ないの?」
「ああ。あれはちょっと特殊な代物でな。現実で捧げちまった代償を取り戻すだけの量を精製するには少し時間と手間がかかるんだ」
追体験中に使った程度であれば、雫もそれほど必要ない。だが、現実で使った場合は話は別だ。特に今回はエクスカリバーなんて物騒な禁術まで使ってしまった。心臓のような重要な器官を『取り戻す』にはそれなりの代償が必要だった。
(暇を見つけて追体験しないとな)
そして、それが雫の精製に必要な代償だ。まぁ、そうは言っても右目だけならそれほどの時間はかからないはずだが……。
(この『器』でエクスカリバーなんてまともに使える訳ないんだよな)
だが、それは仕方がない。それは人間であるために必要な――人間として当然の代償だ。エクスカリバーに限らず、人間の身であの魔法――禁術を使えば必ずああなる。人間の証のようなものだ。人間でいたいなら、甘受するより他にない。
「そうなんだ……」
「心配するな。数日かかるかもしれないが、取り戻せるのは間違いない」
ともあれ、しゅんとしてしまったなのはに、慌てて付け足しておく。
「ホントに?」
「そんな事で嘘はつかないよ」
「うん。じゃあ、『魔物』の方はどうなったの?」
「殺戮衝動の事か? なら、落ち着いていなければ今頃は大暴れしているよ」
どうやらあのじゃじゃ馬どももこの結末に納得してくれたらしい――右手を見ながら、声にせず呟く。あるいは恩師達が宥めてくれたのかもしれないが。
(まったく。つくづく人を振り回してくれる)
事態を世界の終わり寸前までこじれさせてくれたあの魔石に向かって、声にしないまま毒づいていると、なのはが言った。
「じゃあ、もう大丈夫、なんだよね?」
「ああ。そうだな。もう大丈夫だ」
「良かった」
久しぶりになのはが笑っているところを見た気がする。別にだからという訳でもないが……まぁ、ようやく一息つける。こうしてなのはの髪を撫でていると、その実感がわいてきた。やれやれ、まったく。本当にどうにかなって何よりだ。
――そして今日も、世界は続いていく
5
とまぁ、そんな訳で。色々と綺麗に収まったはずなのだが――
「それで。何でお前らは話を綺麗に終わらせてくれないんだ?」
翌日、何故か俺はアースラの会
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