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その魂に祝福を
魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり4
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とだろうな」
 前半は意味が分からなかったが――人生をやり直せという言葉だけは、何とか理解できた。確かに、その機会を与えられたのだろう。
「―――」
 それなら、もう一度娘を蘇らせるべく研究に戻るだけだ――そう思っていたのに、何故こうも途方にくれたような気分になるのか。ただ、何かが変化している。他の選択をしろと、そう言う事なのだろうか。……私に他の選択肢なんてものがあるとでもいうのか。
「ああ、だが。これだけは伝えておいた方がいいか」
 言って、彼は私の右腕に触れた。抵抗しないでいると、そのまま掌を上に向けて見せる。そこには、うっすらとだがZのような形をした奇妙な痣が浮かんでいた。
「簡単な魔法を使ってくれるか?」
 管理局に拘束された時点で、魔力は封じられているはず。そう言いかえそうとしてから、気づいた。魔力は封印されていない。しかし、
「痛ッ……ッ!」
 魔力を高めた途端、右手の痣が焼けるように痛んだ。それを見て、彼は肩をすくめる。
「やはり、干渉しあうか……」
「これは?」
 どうやら、この少年はこの痣が何なのか知っているらしい。
「魔物化した代償。……念のため確認するが、魔物化したことは覚えているか?」
「……ええ」
 力と引き換えに、自分の身体が暴走体より根の深い――さらに深刻な変化を起こしたことは覚えていた。それを魔物化と言っているのだろう。なるほど、はっきりとは覚えていないが言い得て妙だ。
「あれだけ派手に魔物化しておきながら、この程度の代償で済んだのは幸運だったが……魔物化した魔導師なんて前例がないらしい。それに、あの魔物化も俺がよく知る者とは微妙に異なっていたこともある。この分なら、しばらくは魔法を使わない方がいいだろう。正直、どんな影響が出るか俺にも分からないからな」
 その説明が理解できたかと言われれば、何とも怪しいが――それでも、しばらく魔法が使えない事だけは分かった。けれど、その程度のことは私が犯した罪を思えば安すぎる代償だった。ああ、なるほど。いつの間にか忘れていたが……それを罪だと素直に認められる程度には正気を取り戻しているらしい。
「さて、そろそろ本題に入ろうか」
 右手の痣を見つめていると、彼は言った。本題。その言葉の意味を理解する事を、束の間拒絶していた。その隙に彼が立ち上がり、ベッドを囲っていたカーテンを開け放つ。
「あ、あの!」
 その先には、確かにフェイトの姿があった。光に軽く促され、彼女は少しだけベッドに近づいてくる。けれど、手に届くほどには寄って来なかった。今までの仕打ちを考えれば当然だろう。
(今さらやり直そうなんてね……)
 虫のいい話だ。自嘲する私に向かって、彼女は思わぬ言葉を告げた。
「ごめんなさい!」
 ゴメンナサイ?――この少女は、一体何を言っているの
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