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その魂に祝福を
魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり4
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、それはそうだろう。他に考えようがない。
「私もいよいよ年貢の納め時ね」
「まぁそうだろうな」
 その少年はあっさりと言った。そして、肩を竦めて見せる。
「もう逃げ場はない。素直にフェイトと向き合うんだな」
 それは――ある意味では予想通りのセリフだった。そして今さらでもある。
「今さらどうしろと? 管理局の手に落ちたなら、私達は無事では済まないわ」
『虐待を受け、強制されていた』あの子なら、あるいはまだ救いがあるかもしれないが。
「どうやら防がれたようだけれど……仮にも次元断層まで起こした以上、幽閉期間は百年は下らないでしょうね。もちろんその間にあの子に会う事は出来ない。私もあの子もさすがにそんなに長生きはできないわよ?」
「それに関しては問題ない。とっくに取引は成立している。奴らが契約を違えない限り、お前達が拘束されたとしても精々数年だ」
 言いながら、彼は何かしらの書類を見せた。どうやら、私の罪状らしい。そこに記されていたのは、ロストロギアの不正所持という文字のみ。次元断層のじの字もなかった。
「あの連中は、フェイトに対する虐待および管理局への攻撃、次元断層とやらについてはロストロギアに取り憑かれた結果という扱いにする気らしいな。ついでに、ロストロギアに付け込まれるきっかけになった事故についても再調査するようだ。あの女狐ども、軽く調べなおした時点で随分と憤慨していたからな。まぁ、お前が勤めていた会社の重役連中はそれ相応の末路を辿る羽目になるんじゃないか?」
 リンゴをいくつかに切り分けながら、いい気味だと言わんばかりに笑って見せた。いくつかの意味で、管理局はそれほど甘い組織ではないと言ってやりたいところだったが、取りあえず別の事を口にする。
「せっかくの好意だけど、それも無駄だわ。私はもう――」
 長くない。そう言おうとした私の口に、彼は切り分けたばかりのリンゴの一切れを強引に詰め込んだ。甘酸っぱい風味そのものは不快ではなかったが、とにかく状況が悪い。何とか咀嚼し飲み込もうとしている私に、その魔導師は新たな書類を突きつけてきた。
「それが最新の検査結果だ。体力と魔力の衰弱こそ予測されるが、それ以外は全くの健康体。それどころか、身体年齢は二十代程度に若返っているくらいだ。何か問題があるとは思えないが?」
 身体年齢はともかく――数値を見る限り、異常はどこにも見られない。それに、冷静に考えてみれば呼吸も全く苦しくない。常に胸元に張り付いていた不快感がない。
「何で……?」
 もはや魔法も通じなかったはずだ。ジュエルシードを用いてなお、症状を抑えるのが限界だった。
「どちらについて訊いているかは分からないが……何であれ、救済した相手がお前のような特異的な回復を見せるのは別に珍しくもない。まぁ、それで人生をやり直せというこ
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