第2部 風のアルビオン
最終章 決戦
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顔は涙と血で汚れていた。
「ウ、ウルキオラ…ウルキオラー!」
ルイズはウルキオラの胸に飛び込んだ。
ウルキオラは無表情でルイズを受け止めた。
「怖かった…怖かったよー!ウルキオラー!」
ルイズはウルキオラの胸に顔を埋めた。
「だから、俺の胸で涙を拭くな」
ルイズはそんなウルキオラの言葉を聞かず、ただただ泣いていた。
「落ち着いたか?」
ルイズは泣くだけ泣いたのか、ウルキオラの胸から顔を離した。
「うん…」
ルイズは赤くなった顔をウルキオラに見られたくなかったので、俯いて言った。
「そうか、なら、脱出するぞ」
ウルキオラはそう言って、ルイズに背を向け、歩き出した。
「ま、待って…」
ルイズは離れていくウルキオラを引き止めた。
「なんだ?」
ウルキオラはルイズを振り向き、横目で見て、言った。
「あ、ありがとう…た、助けてくれて…」
ルイズは真っ赤な顔でウルキオラに言った。
「気にするな…俺の役目は、お前を守ることだ」
ウルキオラは言った。
ルイズはウルキオラに向かって走った。
そして、ウルキオラの腕に抱きついた。
「くっつくな…鬱陶しい」
ウルキオラは冷たく言い放った。
「なによ…別にいいじゃない」
ルイズは頬を膨らませて言った。
「あなたは、私の使い魔でしょ?」
その後、タバサ、キュルケ、ギーシュ一行が、ギーシュの使い魔ヴェルダンテの掘った穴から現れた。
ウルキオラはウェールズの亡骸から、風のルビーを引き抜き、その穴からアルビオンを脱出し、タバサの使い魔シルフィードでトリステインへと帰投した。
疾風のように飛ぶシルフィードのせいで、強い風が頬を嬲る。
温かい何かが、心の中に満ち、悲しい出来事で傷ついた自分の心が癒されていく。
ルイズはウルキオラの肩に頭を置いて、目を閉じた。
せめて、この風が…。
異世界から吹く、この心地よい風が…。
頬を嬲る間は、寝ていようと思った。
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