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ウルキオラの転生物語 inゼロの使い魔
第2部 風のアルビオン
最終章 決戦
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を始める」

王子の声が、ルイズの耳に届く。

でも、どこか遠くで鳴り響く鐘のように、心許ない響きであった。

ルイズの心には、深い霧のような雲がかかったままだった。

「新郎、子爵ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。汝は始祖ブリミルの名において、このものを敬い、愛し、そしつ妻とすることを誓いますか」

ワルドは重々しく頷いて、杖を振った左手を胸の前に置いた。

「誓います」

ウェールズはにこりと笑って頷き、今度はルイズに視線を移した。

「新婦ラ・ヴァリエール公爵三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール……」

朗々と、ウェールズが誓いのための詔を読み上げる。

今が、結婚式の最中だということに、ルイズは気付いた。

相手は、憧れていた頼もしいワルド。

2人の父が交わした、結婚の約束。

幼い心の中、ぼんやりと想像していた未来。

それが今、現実のものになろうとしている。

ワルドのことは嫌いじゃない。

おそらく、好いているのだろう。

でも、それならばどうして、こんなに切ないのだろう。

どうして、こんなに気持ちは沈むのだろう。

滅び行く王国を、目にしたから?

愛する人を守るため、死を選んだ王子を目の当たりにしたから?

違う。

悲しい出来事は、心に傷つけはするけれど、このような雲をかからせはしない。

深い、沈うつな雲を、かからせはしない。

ルイズは不意に、ウルキオラのことを思い出した。

どうして自分の心に、ウルキオラが出てくるのだろう?

止めて欲しかったのだ。

誰に?

ウルキオラに止めて欲しかったからだ。

どうして?

その理由に気づいて、ルイズは顔を赤らめた。

悲しみに耐え切れず、昨晩、廊下で出会ったウルキオラの胸に飛び込んだ理由に気付いた。

でも、それはほんとの気持ちなのだろうか?

わからない。

でも、確かめる価値はあるんじゃないだろうか?

なぜなら自分から、異性の胸に飛び込むなんて、どんなに感情を高ぶらせたって、ついぞなかったことなのだから。




一方……。

こちらは、ニューカッスル城のとある部屋のなか。

「なるほど、虚っていう種族の中にも色々あるんだな」

「ああ」

椅子に腰掛け、デルフに虚の説明をしていたウルキオラは、視界が一瞬曇ったことに気付いた。

「…」

「どうした?相棒」

デルフは急に話を止めたウルキオラを不審に思った。

ウルキオラの視界が、まるで真夏の陽炎のように、左目の視界が揺らぐ。

「目がおかしい」

「疲れてるんじゃないか?そんなことより、早く続きだ、続き!」
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