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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
磔刑は聖人を裁きし矛
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度は耳にしたことがある程の知名度を持つ聖人。彼の逸話が広く浸透していればする程、概念としての力はより効力を増していく。貴方達天狗だって、人間が創り上げた幻想でしょう?人間が鴉天狗はこういう存在≠ニ認知していったことで、誰よりも疾く飛べるようになった。その真偽に関係なく、人間の願望でその性質を確固たるものとしてきた。ここまで言えばもうわかるでしょう?」

「そんな生まれる前のことなんて知ったことではありません。仮に人間が私達を創造したとして、それを証明する手段はありません。あとそんな下らないことで煙に巻くのは結構ですから、もっと簡潔に述べてください。そもそも貴方の口からきちんと証明されないことには、ここでの会話なんて何の価値も見出せません」

「………自分の出生のルーツを下らない、ね。まぁいいわ、つまりこの外套も長い年月、信仰により性質を変化させたものであり、その貴重さ足るや口語で表現するのは憚られる程よ。まぁ、知らない者にとってはただの外套でしかないんだけど」

「つまり、この外套はその魔術礼装という性質を持ち合わせており、とても貴重なものだと」

「ええ。魔道の心得を持たない貴方がこれを持っていることが不思議でならないくらいよ」

「それに関しましては、こんな事情がありまして―――」

パチュリーに外套を手に入れた経緯を説明する。
全てを聞き終えた後、露骨に眉を潜める。
怒りと呆れを混ぜ合わせたようなそれにより、珍妙な顔芸が構築されている。

「―――ソイツは何者?これを他人に平気で譲るなんて、これを価値を知らない馬鹿か、これの価値を知った上で大した物ではないと切り捨てる程の大物かどちらかよ」

「あはは………その方面に精通していない私でも、これが貴重なものだというのは何となくわかっていましたが、よもや想像以上のものとは」

だが、同時にこの外套の持ち主により一層興味が沸いてきた。
魔女を唸らせるほど価値のある礼装を平気で他者に譲る存在に、興味が沸かないわけがない。

「………これだけの装備を所持する者が、今まで頭角を現表していないなんてことは考えにくい。恐らくこれの持ち主は、外来人よ」

「外来人って………外の世界で、未だこんな此方側の物質が残存しているのですか?」

「それは貴方の勘違いよ。これ以上の価値を有する聖遺物でさえ、外には結構な数が溢れている。幻想郷に流れ着くのは、人間に忘れ去られたあらゆる事象に限定される。逆説を説くなら、それらが忘れ去られないに至る要因が未だ根付いているということよ」

「外は機械に頼り切るあまり、神話や伝承に対する信仰を失ったと聞きますが」

「その情報も絶対に信頼できるものではない、ということよ。新聞を書く者として、一貫した視点で物事を見るのはやめておきな
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