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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
磔刑は聖人を裁きし矛
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完全に聞いてないぞコイツ。

「諏訪子様も良いと仰られたので、早速行きましょう!」

「待て、あれはOKサインなのか?疑問を持つ私が間違っているのか?誰か教え―――」

私の問いに答える者は誰もおらず、ただ虚しく木霊するだけだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


早苗に引きずられるまま訪れた先には、森の前に古物商店が構えられているという奇妙な光景があった。
香霖堂と綴られた看板は古めかしいを通り越してわびしさすら感じさせる。
狸の置物を始め、マウンテンバイクといった近代道具さえもこしらえられている光景は、あまりにも異質。
だが、そんな近代道具は型遅れのものばかりで、野ざらしにされていたのだろう、きちんと整備しないとまともに使用できるかどうかさえも怪しい。

「ここは、外から流れ着いてきた道具を主に扱うお店です。シロウさんも、幻想郷で作られている着物なんかよりも、もっと新しい奴の方がお気に召すのではないかと思いまして」

「その申し出はありがたいのだが、そういった一品限りのようなものは値が張るのではないかね?それに、私の体格に合う奴があるという保証もない」

「それならそれでいいんです。………私は、シロウさんに喜んでもらえたらいいなと思ってやっているだけなんです。だから私の案が徒労となったところで、私が損をするだけですから」

その時の笑顔はとても眩しく、ひどく哀しく映った。
かける言葉も見つからないまま早苗が店内へと入り込んでいき、私もその後に続いていく。
内観は一言で表すならば、こざっぱり。
外観と同様、時代錯誤のあらゆる道具がそこには存在しており、しかし清廉された配置で見栄えは損なわれることなく、結果として不思議な雰囲気とマッチしている。

「やあ、いらっしゃい。―――いきなりで済まないが、君達はまっとうな客かい?」

カウンターの前には、くたびれた雰囲気の眼鏡が似合う青年がいた。
しかし彼から発せられた言葉は、おおよそ商売人が発するそれとは到底思えないものだった。

「まっとうじゃない客がどんなものか訊きたいところではあるが―――少なくとも金銭による取引を前提としてここに来てはいる」

「そうか。ならまっとうな客だよ。いらっしゃい、ゆっくりしていってくれ」

私の答えに満足したのか、営業スマイルでそう答える。
早苗は言われずともと言わんばかりに商品を閲覧している。
私に喜んでもらいたい―――そう彼女は言っていた。
ならば私が探すよりも、彼女に一任した方が良いと判断し、店主へと向き合う。

「ここは初めてのようだけど、彼女の買い物に付き合っているのかい?」

「生憎とそんな関係ではない。それよりも、先ほどのまっとうな客発言だが、そうでない手合いに被害でも受けてい
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