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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
磔刑は聖人を裁きし矛
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「そういえば、前に外套を脱いだ状態で帰ってきたけど、どうしたの?」

そんな諏訪子の言葉を皮切りに、今日の物語は始まる。

「………何故今更そんなことを訊く?」

本来、その質問はその日の内に行うべきもの。
今更そんな話題を持ち出して、いったい何を考えているのだ。

「別に他意はないよ。気になっただけ」

「残念ながら、君の好奇心をくすぶるようなものではない。弱っていた少女を治療し、その際に外套を着せて風から身を守るように仕向け、そのまま帰ってきただけだ」

嘘は言っていない。
それにしても―――まだ確定するには値しないが、諏訪子が白狼天狗との交戦を強要した可能性を考えると、どうにも白々しく聞こえてしまう。

「いいの?結構貴重なものだと踏んでいたんだけど」

「別に構わん。君にとってはそうでも、私にとってはそうではない。その程度のものだ」

事実、あれは投影で無尽蔵に量産できる代物である為、私からすれば通常の衣服と何ら変わらない価値しか持たない。
固有結界の連続使用におけるデメリット、および対魔力を考慮しなければ、それこそ多少丈夫な衣類でしかない。
聖骸布をその程度呼ばわりできるのは、英霊であろうともそうはいないだろう。
劣化するというデメリットはあるが、こと数をこなすにおいてこれ程優位性を誇る能力はないだろう。

「………ふぅん」

私の答えに興味を失くしたかのように、卓袱台にある煎餅を食べる。
本当に、彼女が何を考えているのかまるで読めない。

「―――いや、違うな。だってあれから日が経つけど鎧のままじゃん。そりゃあ気にならない方がおかしいって」

と思いきや、手振りとともにツッコミを入れられる。
確かに、私は外套を投影することなく今に至っている。
それは、諏訪子達が私へ牙を向く可能性を考慮し、手の内を見せないよう振る舞ってきた結果。
守矢神社が女所帯ということもあり、男ものの服を調達することができなかったのも、今回の疑問に答える要因となったのは明白。
疑問は早急に解決せんとした結果、相手に疑問を浮かばせる時間を与えてしまった。
些細な疑問から根掘り葉掘り訊かれるのは、後の立ち回りに影響を及ぼす可能性がある。
早々に話題を切り上げるべきか―――

「―――なら、買いに行きましょう!」

―――等という願望は、早苗の楽しそうな声に遮られることとなる。

「………何をかね?」

「そりゃあ、シロウさんの服をですよ!」

「それ自体は構わないのだが―――生憎先立つものがない」

「そんなの、こちらが出しますよ。言いだしっぺは私ですから」

「いや、それは皆の金ではないのかね?」

「いいんですよ、ねー諏訪子様」

「おやつは300円までだよー」

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