暁 〜小説投稿サイト〜
MA芸能事務所
偏に、彼に祝福を。
第一章
三話 違和感
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のライブ映像とかかな。
「PCについてるステッカー、あれ若しかして、えーと、なんだっけ」
 分かるのか奈緒。結構昔のアニメ何だけどな。友人が譲ってくれたPCで最初からついてたんだ。
 そんな具合に代わる代わる。最後はトレーナーさん達と、水本ゆかり。
 最後のペアは麗さんが初めに玄関を抜けて室内に入った。いらっしゃいと中から声をかける。麗さんはそれに応えると、足早に部屋に入り込む。部屋はワンルームとキッチンとトイレと浴室。見回るのに時間はかからない。後から入ってきた聖さん達は呆れ顔で自身の姉を見ていた。
「姉さん、流石にそんなに足早に……」
「なぁお前たち、一通り中を見て来い」
 困った顔をした聖さん達も、姉のいうことに従った。
「不躾で悪いな」
 命令をした本人である麗さんに謝られた。男として異性に部屋を見られることは好きではないが、怒るほどでもあるまい。
 水本はそんなトレーナー方一行には従わず、真っ直ぐに居間に来た。そこにはPCとベッドがあるだけなのでそれ程見回す必要もない。あるものと言えば、他にはPCの横のラックと私服を入れる箪笥、コートハンガー等。見て、または触って楽しいものは何もない。
 彼女はPCの横のラックにあるCDの元へ寄った。
「美しく青き―――」
 麗さんが水本を一瞬意識した。
「ドナウ。クラシックを良く聞くんですか?」
「いや、特にってほどではない。色々な曲を聞くよ」
「じゃあ、具体的に何を聞くんだ?」
 会話に割り込んだのは麗さんだった。いつの間にかトレーナー姉妹は全員居間に戻っている。
「家では、良くアイドル達の曲を聞きますよ」
 嘘だ。だがばれるはずはない。事務所で、収録現場で、幾度もなく聞いているから。
「嘘だ」
 動揺した。視線を麗さんから水本に移す。水本も動揺、恐らくは麗さんの言葉の意味が分からなかったから。
「やはりな。カマをかけたつもりだったが見事なものだ」
「慶さん、水本と先に皆の元へ戻っていてくれませんか?」
「二人もいろ」
 有無を言わせぬ麗さんの迫力に、慶は動きを止めた。
「何のつもりですか麗さん」
「プロデューサー……君のPC、少なからず音楽は聞かないだろう?」
 何か問題があったのか? 自身のPCを見る。事実使ったことがあるPCだ。使えないことはない。イヤホンもつけて……ああ。
「君のPC、友人の自作なんだってな。でだ、タワーの本体にはスピーカーはない。モニターにもない。じゃあイヤホン。けどそれ、その椅子で聞くには短くないか? 他にヘッドホンもない。USBケーブルもなければ充電器、配線器すらない。携帯音楽プレイヤーも何もないだろう?」
 どこまでばれた。いやもう全部か。
「まぁ麗さん、曲を聞かないくらいの嘘どうでもいいじゃないですか」
 水本の言
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