暁 〜小説投稿サイト〜
MA芸能事務所
偏に、彼に祝福を。
第一章
一話 働き者
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としてレッスンルームまで同行した。仲が良い、少なからず私の目からは仲良く見えるこの三人とともに私が行くのは彼女たちからして面白くはないだろうが、事務所に長くいると息が詰まって仕方がないので息抜きを兼ねてそうさせてもらった。彼女たちには悪く思わないでほしい。
 レッスンルームに着くとそこには既にトレーナーが待機していた。
「おはよう。あ、プロデューサーさん、今日なんだけど……」
 トレーナー、青木慶は私の元へ近寄り、凛ら三人に柔軟体操を指示すると手元のボードを私に渡した。
 ざっと目を通す。彼女ら三人の慶さんなりの評価だ。大方予想通り。凛の伸びが他の二人より早いことも。
「加蓮の体力の伸びがイマイチ。奈緒は―――」
 慶さんが小声で繋ぐ言葉を聞くに、彼女三人に対する評価自体も予想通りだった。
「―――ですので、加蓮にはもうちょっと辛い目にあってもらいたいです。奈緒さんは私の姉たちに任せる部分も出てきます」
 頷く。全て必要なことだ。私よりトレーナーである彼女、いや彼女とその姉妹たちに任せたほうがいいだろう。
「奈緒を任せるのは明さん?」
 慶さんは頷いた。
「不都合でも?」
「いや、その提案はありがたい。一応後で私から明さんに電話を掛けさせてもらうよ。……ついでを言っちゃあ何だが、奈緒の事、これからも見てやってほしい」
 精神的な部分でもと繋げて、納得顔をした慶さんにボードを返した。
 準備体操を終えたのか、凛たちが私たちの元へ近づいてくる。
「ああ、私からもついでに一ついいですか?」
 慶の言葉に了承し続きを促した。
「私たちの姉妹の名前、憶えて頂きました?」
 苦笑いを浮かる。最初に言われるようになってから二月、未だにネタにされている言葉だ。ことは二か月前、トレーナー一同と顔を合わせた時のことだ。目の前にいる青木慶を初め、彼女の姉妹四人は全員トレーナー業を勤しんでいる。名前は上から麗、聖、明、慶。トレーナーとしての経験もそれに比例している。彼女ら一同と会って挨拶をしたときに、髪型は違うとはいえ顔も姉妹なりに似通った彼女らの名前の区別には難儀したのだ。それを問題にしなかったトレーナーさんたちには感謝するのだが、その場にいた彼女らの長女、麗が恐らくは場を和ませようと私の事をからかった。私より年上であることもあっただろう。まぁそれ自体はあまり問題ではない。それがそれの後トレーナーから私のアイドルの元まで伝わり暫くの間弄られたのが問題だった。流石に今でも言ってくるのはトレーナー姉妹だけだが。
「麗聖明慶、憶えてますよ。それよりきちんとお願いしますね」
 凛たちにも頑張るよう伝え、レッスンルームを後にした。


 その後電車に乗り都市部へと移り、駅前の支柱にもたれ掛り道行く人を眺めた。都合三十分程で、声をかける人間を決め
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