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とある少年の不屈精神
第1話:きっかけ
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、と苦笑いした上条が、「あ、そういえば」と、
「お前、この前補修サボったろ? 小萌先生怒ってたぞ」
「あ…まぁ、そういう時もある」
「なんだよそれ」
「まぁまぁ、そう言わずに。過ぎたことだし」
「ったく…」そう言って笑うと、またさっきと同じような雑談が始まる。
深入りせずに、冗談半分に話す上条の態度が九重にはとても心地よかった。
そんな最中だった。
「上条当麻!」
キリッとした声が教室に響き、九重は肩がビクッと跳ね上がる。恐る恐る振り返ると教室の入り口からきびきびと歩いてくる、女子生徒の姿があった。
「ふ、吹寄?」
九重は彼女に対して「なんだ?」と苦笑いで答えたが、彼女の顔は笑っていても、隠しきれていない怒りが滲んでいた。
「あんた、この前の小萌先生への提出物どうして出していないのかしら…?」
「あ…今から出そうと、」
「提出は今日の朝でしょ!あと一人でパーフェクトだったのに …」
「それは惜しい…」
「あんたのせいでしょ!」
はぁ、と大きくため息をついた吹寄はしょうがないといった感じで自分の席に戻ると、買ってきた昼食を食べ始める。
「お前も大変だな…」
「ははは…後で小萌先生に締められるな…」
「そうだな…ん?」
九重そこで引っかかる。
そういえば小萌先生って…
答えが出る前に、教室の扉が静かに開く。
誰が入ってきたか、小さくて見えない。だからこそ、呼ばれた声には背筋をなぞられたようにゾッとした。
それは無関係であるクラスメートも。
そして、上条もおなじのはずだ。
「上条ちゃん、九重ちゃん。あなたたちは放課後、職員室に来るのですよー」
「はい…」
小萌先生が教室を去り際ギリギリに目が合う。顔は笑っていても、先生の目はいつものように優しくなく、まるで獲物を狙う獣のようだった。



「というわけで、これからはしっかり補習に来ることです!わかりましたか?」
「はい…ものすごく」
上条の説教が終わってから、もうすでに時計の針が一周回ろうとしている。
放課後に呼び出されて日が暮れるまで、九重は担任の小萌から嫌ほど説教を聞かされ、かなり弱っていた。
授業より疲れる。これなら補習におとなしく出ればよかったと、九重は割と真面目に思うくらいだ。
小萌先生は少しお茶をすすると、「さて」と話を切り出す。説教の終わりに見えた九重は一瞬顔を綻ばせたが、また聞いたことのある説教が始まりげんなりとしてしまった。
(もしかしてこの説教、終わらないんじゃないだろうか?)
恐ろしい不安が九重の脳裏によぎったそんな中、いつまでも話し続けている小萌の肩を、隣の教師が苦笑いでたたく。
「お前何回同じ話をしてるじゃん?もういいじゃんよ」
「黄泉川先生…」
九重の嬉しそうな顔に、隠すことなく、「グッジョブだろ」と
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