第六章
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第六章
「それじゃあ」
「告白って御前何言ってんだよ」
「いや、俺はな」
「俺って?」
「だから俺は別に」
口を尖らせて憮然とした顔での今の言葉だった。俊は明らかに困っていた。
「何もな」
「けれど可愛いだろ」
「けれど親戚だぞ」
「親戚でも三親等でないと結婚できるぞ」
「結婚って馬鹿言え」
俊は今の彼の言葉に思わず声をうわずらせてしまった。
「何でそんな話になるんだよ」
「御前もう二十歳だよな」
友人は彼に目を向けて問うてきた。
「確か」
「ああ、そうだけれど何なんだ?」
「それであの娘は幾つなんだ?」
「十七だよ」
「高校生か」
彼はそれを聞いて真面目な顔で頷いた。そしてそのうえでまた言うのだった。
「じゃあ結婚を前提としてな」
「おい、また何でそんなこと言うんだよ」
「可愛い娘には告白しろ」
彼はまたとんでもないことを言い出してきた。
「どうだよ。それで」
「また滅茶苦茶なこと言うな、可愛い女の子には告白かよ」
「それだよ。イタリア人はそうするだろうがよ」
「俺は日本人だぞ」
だから違うというのである。
「だからそんなことは」
「惚れた腫れたはもう世の常だぞ」
友人はさらに言う。彼もかなり容赦がない。
「じゃあやれ。いいな」
「否定したいんだけれどな」
「否定するなよ、とにかく話だけでもはじめろ」
友人はここでは譲歩した。しかしその譲歩は相手から自分の望むものを引き出す為のものであることは明白であった。それは俊から見てもわかることだった。
「いいな」
「まあ話位ならな」
俊もわかっていたがその譲歩に乗った。
「またマジックで会うか」
「そうしろ。しかしあそこの店の娘さんな」
「何だ?」
「三人いるよな」
友人はその娘の話をするのだ。喫茶店のだ。
「一番上の娘が大学生だよな」
「みたいだな」
「二番目の娘さんがいい感じだよな」
「あの人今OLらしいぞ」
「高校卒業してすぐか」
「ああ、らしいな」
俊の方が知っていた。マジックには何度か行っていたからだ。それである程度は知っていたのである。だからなのである。
「それがどうしたんだ?」
「あの娘奇麗だな」
彼が関心を向けているのはその娘なのだった。見れば顔が真剣である。
「そうだな。それで」
「それで?どうするんだ?」
「一番上の娘さんは彼氏がいるみたいだしな」
こんな話もするのだった。
「今日カウンターで何か無愛想な奴と話していたしな」
「結構いい感じだったな」
「だからあっちは駄目だな」
彼はまた言った。
「それに俺の方はあのOLの娘の方がいいしな」
「それじゃあそれで決まりか」
「ああ、そうしようか」
こうして彼の方は決まった。しかし俊
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