第2部 風のアルビオン
第7章 亡国の王子
[5/5]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
た。
「ふむ、姫殿下とな。君は?」
「トリステイン王国魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵」
それからワルドは、ルイズたちをウェールズに紹介した。
「そしてこちらが姫殿下より大使の大任を仰せつかったラ・ヴァリエール嬢とその使い魔のウルキオラにございます。殿下」
「なるほど!君のように立派な貴族が、私の親衛隊にあと10人ばかり居たら、このような惨めな今日を迎えることもなかったろうに!して、その密書とやらは?」
ルイズが慌てて、胸のポケットからアンリエッタの手紙を取り出した。
恭しくウェールズに近づいたが、途中で立ち止まる。
ちょっと躊躇うように、口を開いた。
「あ、あの……」
「なんだね?」
「その、失礼ですが、本当に皇太子様?」
ウェールズは笑った。
「まあ、さっきまでの顔を見れば、無理もない。僕はウェールズだよ。正真正銘の皇太子さ。なんなら証拠をお見せしよう」
ウェールズは、ルイズの指に光る、水のルビーを見つめて言った。
自分の薬指に光る指輪を外すと、ルイズの手を取り、水のルビーに近づけた。
2つの宝石は、共鳴しあい、虹色の光を振りまいた。
「この指輪は、アルビオン王家に伝わる、風のルビーだ。君が嵌めているのは、アンリエッタが嵌めていた、水のルビーだ。そうだね?」
ルイズは頷いた。
「水と風は、虹を作る。王家の間にかかる虹さ」
「大変、失礼致しました」
ルイズは一礼して、手紙をウェールズに手渡す。
ウェールズは、愛おしそうにその手紙を見つめると、花押に接吻した。
それから、慎重に封を開き、中の便箋を取り出し、読み始めた。
真剣な顔で、手紙を読んでいたが、そのうちに顔を上げた。
「姫は結婚するのか?あの、愛らしいアンリエッタが。私の可愛い……、従妹は」
ワルドは無言で頭を下げ、肯定の意を表した。
再び、ウェールズは手紙に視線を落とす。
最後の1行まで読むと、微笑んだ。
「了解した。姫は、あの手紙を返して欲しいとこの私に告げている。何より大切な、姫から貰った手紙だが、姫の望みは私の望みだ。そのようにしよう」
ルイズの顔が輝いた。
「しかしながら、今、手元にはない。ニューカッスルの城にあるんだ。姫の手紙を空賊船に連れてくるわけにはいかぬのでね」
ウェールズは笑って言った。
「多少、面倒だが、ニューカッスルまで足労願いたい」
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ