第2部 風のアルビオン
第7章 亡国の王子
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
な霊圧に負けじとウルキオラを睨んだ。
人を射竦めるのに、なれた眼光だった。
それでも、ウルキオラは霊圧を解放したまま、冷静に答えた。
「使い魔だ」
「使い魔?」
「そうだ」
ウルキオラは霊圧を抑える。
頭は笑った。
冷や汗を垂らしながら、大声で笑った。
「トリステインの貴族は、気ばかり強くてどうしょもないな。自分の使い魔に怯えているのだから。まあ、どこぞの国の恥知らずどもより、何100倍もマシだかね」
頭はそう言って、わっはっは、と笑いながら立ち上がった。
ワルドとルイズは、頭の豹変ぶりに、顔を見合わせた。
「失礼した。貴族に名乗らせるなら、こちらから名乗らなくてはな」
周りに控えた空賊たちが、ウルキオラの霊圧による冷や汗を拭い、一斉に直立した。
頭は縮れた黒髪を剥いだ。
なんと、それはカツラであった。
眼帯を取り外し、作り物だったらしい髭をびりっと剥がした。
現れたのは、凛々しい金髪の若者であった。
「私はアルビオン王立空軍大将、本国艦隊司令官……、本国艦隊と言っても、既に本艦『イーグル』号しか存在しない、無力な艦隊だがね、まあ、その肩書きよりこちらの方が通りがいいだろう」
若者は居住まいを正し、威風堂々、名乗った。
「アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ」
ルイズは口をあんぐりと開けた。
ウルキオラも目を見開いた。
いきなり名乗った若き皇太子を見つめた。
ワルドは興味深そうに、皇太子を見つめた。
ウェールズは、にっこりと魅力的な笑みを浮かべると、ルイズたちに席を勧めた。
「アルビオン王国へようこそ。大使殿。さて、ご用の向きを伺おうか」
あまりのことに、ルイズは口がきけなかった。
ぼけっと、呆けたように立ち尽くす。
「その顔は、どうして空賊風情に身をやつしているのだ?といった顔だね。いや、金持ちの反乱軍には続々と補給物資が送り込まれる。敵の補給路を絶つのは戦の基本。しかしながら、堂々と王軍の軍艦旗を掲げたのでは、あっという間に反乱軍の船に囲まれてしまう。まあ、空賊を装うのも、致し方ない」
ウェールズは、悪戯っぽく笑って、言った。
「いや、大使殿には、誠に失礼をいたした。しかしながら、君たちが王党派ということが、中々信じられなくてね。外国に我々の味方の貴族がいるなどとは、夢にも思わなかった。君たちを試すような真似をしてすまない」
そこまでウェールズが言っても、ルイズは口をぽかんと開くばかり、いきなり目的の王子に出会ってしまったので、心の準備ができていないのであった。
「アンリエッタ姫殿下より、密書を預かって参りました」
ワルドが優雅に頭を下げて言っ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ