第2部 風のアルビオン
第7章 亡国の王子
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イズは1つの皿から、同じスープを飲んだ。
飲んでしまうと、することがなくなった。
ワルドは壁に背をついて、なにやら物思いに耽っている様子。
ルイズも鼻をすすりながら壁に寄りかかっている。
しばらくすると、再びドアがばちんと開いた。
今度は、痩せぎすの空賊だった。
空賊はジロリと3人を見回すと、楽しそうに言った。
「おめえらは、もしかしてアルビオンの貴族派かい?」
ルイズとワルドは答えない。
ウルキオラは答える気がない。
「おいおい、黙りじゃわからねえよ。でも、そうだったら失礼したな。俺たちは、貴族派の皆さんのお陰で、商売させてもらってるんだ。王党派に味方しようとする酔狂な連中がいてな。そいつらを捕まえる密命を帯びているのさ」
「じゃあ、この船はやっぱり、反乱軍の軍艦なのね?」
「いやいや、俺たちは雇われてるわけじゃあねえ。あくまで対等な関係で協力しあってるのさ。まあ、おめえらには関係ないことだかな。で、どうなんだ?貴族派なのか?そうだったら、きちんと港まで送ってやるよ」
ウルキオラはチャンスだと思った。
ここでルイズが自分たちは貴族派だと言えば、丸くおさまる。
おまけに、港に運んでもらえるだろう。
しかし、ルイズは首を縦に振らず、真っ向からその空賊を見据えた。
「誰が薄汚いアルビオンの反乱軍なものですが。バカ言っちゃいけないわ。私は王党派への使いよ。まだ、あんた達が勝ったわけじゃないんだから、アルビオンは王国だし、王統たる政府は、アルビオンの王室ね。私はトリステインを代表してそこに向かう貴族なのだから、つまり大使ね。だから、大使としての扱いをあんた達に要求するわ」
ウルキオラは目を見開いて、呟いた。
「バカが…」
「誰がバカなのよ!」
ルイズはウルキオラの方をきっと向いて、怒鳴った。
「正直なのはいいが、時と場所を選べ」
「うっさいわね!」
ウルキオラは呆れて、ため息をついた。
そんな様子を見て、空賊は笑った。
「正直なのは、確かに美徳だが、お前たち、タダじゃ済まないぞ」
「あんた達に嘘ついて頭を下げるくらいなら、死んだ方がマシよ」
ルイズは言い切った。
「頭に報告してくる。その間にゆっくり考えるんだな」
空賊は去っていく。
ウルキオラは呆れて、脱出をする気にもなれなかった。
「無駄なことを」
ルイズは毅然として言った。
「最後の最後まで、私は諦めないわ」
「それなら、嘘ぐらいつけばいいだろうに…」
「それとこれとは別。嘘なんかつけるもんですか。あんな連中に!」
すると、ワルドが寄ってきて、そんなルイズの肩を叩いた。
「いいぞルイズ!
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