第二章
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第二章
「それだった」
「スジ肉のカレーっていうと」
一郎はそれを聞いてまずあることを思い出した。そしてそのことを口にした。
「力士が食べるあのカレーか?」
「長田じゃそういうカレーらしいんだよ」」
だからだというのだ。
「それでそのカレーをな」
「御馳走になったのか」
「御馳走?」
「そうだよ。もう山盛りで三杯な」
その量もだというのだ。
「食ったよ」
「よくその身体で入ったな」
「それも九歳の時にな」
その時の年齢も話す。
「もうかれこそ十一年前だな」
「それじゃあその娘に会うのも」
「十年ぶりなんだよ」
そうだというのだ。まさにそれだけの時が経っているというのである。
「もうな。一体どうなるやら」
「面白そうだな」
一郎は興味深そうに呟いた。
「どんな風になってるかな」
「あのまま成長してるんじゃないのか?」
ここで俊はこんな風に想像した。
「やっぱりな」
「そのまま大きくか」
「健康スポーツ少女か」
それではないかと考えるのだ。
「そういう感じか」
「まあそれも会ってみてだな」
「ああ、そうだな」
「それで店はな」
店で会うことになっていた。その店は。
「喫茶店だけれどな」
「何処だよ、それ」
「マジックな」
店の名前を言った。
「マジックで、ってなってるんだよ」
「ああ、あの店か」
一郎もそれを聞いて述べるのだった。
「あの店だったらな」
「いいか」
「ああ、悪くないな」
彼もそれで賛成した。
「店の中もイギリス風っていうか。洒落ていて落ち着いていてな」
「しかもお茶の味もいいしな」
「コーヒーもな」
「しかもお菓子もいいしな」
二人の中でマジックに対する評価はかなりいいものであった。二人共その店の馴染みでもあるので話しているうちに明るい顔になった。
「何でもいけるからな」
「じゃあそれでいいよな」
「合格だな。じゃあその娘は」
「ああ、今からだ」
言葉は覚悟を決めるものになっていた。
「行くぞ。いいな」
「いざ鎌倉か」
一郎は最後にこう言った。今二人は何でもない歩道を歩いていた。行き交う人は皆コートに身を包み落ち葉を踏みしめていた。黄色や褐色の落ち葉がアスファルトを覆ってしまい木には葉はすっかり減っていた。秋の深さが次第に深くなってきていた。
そしてそのマジックに入るとであった。
店の中はダークブラウンの木造だった。何処かバーを思わせる。店の椅子もカウンターも同じダークブラウンで統一してありグラスやカップがそれと対比になっていて目立っている。そんな店であった。
そこに入ると。俊はまず戸惑った。
「あれっ!?」
「どうしたんだ?」
「いないな」
怪訝な顔で隣にいる一郎に告げた。
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