第一章
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第一章
久し振り
会うのは本当に久し振りだった。
「いや、本当にな」
「お転婆さんだったんだな」
「そうなんだよ」
こう親友の一郎に話す。彼の名前は弓削一郎という。
「背もあの歳の女の子の中じゃ結構」
「大きかったんだな」
「そうなんだよ。それでやんちゃでお転婆で」
そんな女の子だったというのである。
「活発だったな」
「じゃあ男勝りって感じか」
「あまり女の子らしくはなかったな」
こう表現した。
「実際な」
「そうか。そんな娘か」
「そうなんだよ」
背はかろうじて一七〇程度、ややへの字になった口をしていて唇はわりかし厚い。目つきは切れ長めだが縦にも広い眉は目の形に合わせて少し斜め下に曲がりこれもへの字になっている。短めの茶髪をしていて黒いジャケットにジーンズという格好である。
彼の名前を真帆俊という。彼はこう友人の弓削一郎に話していた。
「何か会ったら早速な」
「いきなり元気のいい挨拶ってか」
「そうなるんじゃないから」
道を歩きながらそのうえで話した。
「やっぱりな」
「それが不安か？」
「いや、俺さ」
俊は口を尖らせて言う。
「結構あれなんだよ」
「あれって？」
「おしとやかな女の子が好きなんだよ」
そうした娘がタイプなのだという。
「大人しい娘がな」
「そういえばそうだったな」
「男勝りとかそういうのはな」
難しい顔をして言う。
「あまりな。どうもな」
「好きじゃないってか」
「ああ、あまりな」
そうだというのである。
「タイプじゃないんだよ」
「けれどあれだろ？友達としては」
「ああ、それはいい」
それは問題ないというのである。
「ただな。やっぱり会えばな」
「おいおい、何でそうなるんだよ」
彼より背の高い一郎は見下ろす形で言った。背は高いが素朴な顔をしている。黒い髪ですそのところを短く刈って清潔な髪型をしている。
「いきなり会ってそうなるか」
「ならないか」
「ならないよ。まあその娘だけれどな」
「ああ」
「元気な娘なのか」
一郎もこのことを考えた。黒い素朴な光の目が興味深げに動く。
「成程な」
「言葉も向こうの言葉でな」
「向こうの？」
「神戸の娘なんだよ」
そこの生まれだというのだ。
「神戸の長田のな」
「ああ、神戸の下町のな」
「それであの娘の家に行くとな」
「何だよ、家に行くこともあったのかよ」
「遠い親戚なんだよ」
それが縁だというのだ。意外と以上に縁が深いようである。
「実はな」
「そうだったのか」
「それで家に行ったことがあったんだよ」
それも縁だというのだ。
「それでな」
「どうだったんだ？」
「カレーが出て来た
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