第14話〜妾腹の息子と貴族嫌いな娘〜
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、でもそれはある意味ほんとのことなんだから。
た、確かにお母さんが虐げられなくなったのは良かったけど・・・」
いつになく歯切れが悪い口調で語るファミィの様子を見たミセリィは、「どうしたの?」と優しく語りかける。
「・・・ほんとは判ってるの。これがただの“妬み”ってことぐらい」
「妬み?それは・・・」
「あの時、ユーシスがあの人を追っ払わなかったって私がそれぐらいできたんだって。
そうやって彼を憎むと同時に羨ましくもあったの」
「羨ましい?」
「うん。結局私はあの人に対して怯えるだけで、何もできなかった。できたのは、お母さんが虐げられるのをただ見てる、こと・・・っ・・・・ぐらい、しか」
自分自身に無力感を感じているのか、段々と涙が込み上げて嗚咽交じりの声になるファミィ。そんな彼女をそっと抱きしめ、ミセリィは耳元に近い距離で囁くように慰めていく。
「もういいの・・・もういいのよ、ファミィ」
「私も、彼のように・・・っ・・・勇敢であったらって・・・!そうだったら私が、私が・・・!」
「ユーシス様はユーシス様。あなたはあなたでしょう?大丈夫。お母さんはファミィの良いところをいっぱい知ってるから。それに・・・私が人を見る目が無いばかりに、あなたに怖い思いをさせてしまったわね。本当にごめんなさい」
嗚咽が大きくなるファミィの背中をさすりながら、謝罪の言葉を口にするミセリィ。
「そ、そんなこと。全部あの男が・・・貴族が、悪いんだから・・・」
「貴族にも色々な人がいるの。ファミィ、それは判る?」
「・・・今なら、少しだけ判る気がする。でも、どうやって関わったらいいのかな?」
抱擁によって多少は落ち着いたのか、目元の涙を擦り、上目遣いでそう尋ねてきたファミィの言葉に、ミセリィは自分の考えを告げる。
「ありのままのあなたでいいの。飾らないあなたで。お昼に来たZ組の人たちはユーシス様も含めていい人ばかりだと思うわ。だからどんなあなたでも受け入れてくれる。あなたが関わりを持とうとすれば相手もきっとそれに答えてくれるはずだから」
「・・・そっか。ありがとう、お母さん」
「ふふっ、どういたしまして・・・それに、さっきのユーシス様とあなた、はたから見ていておしどり夫婦のようだったし。孫の顔が拝める日も近いかしら〜?」
「は、はあ!?い、いきなり何言い出すのよお母さん!わ、私とユーシスがふ、ふふふ夫婦だなんてそんなわけないんだから!!」
軽い冗談のつもりでユーシスの話題を振ったミセリィだが、顔を真っ赤に染めて慌てふためいた様子で否定するファミィ。可愛い娘に意地悪をしたくなってしまったミセリィは彼女に追い打ちをかける。
「あら〜?私はようだったとしか言ってないわよ
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