第14話〜妾腹の息子と貴族嫌いな娘〜
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たんだよ?」と尋ねるケイン。そんなケインの様子を見て、リィンとユーシスは苦笑を浮かべていた。
「?まぁ、いいけどさ。リィン、傷の調子はどうなんだよ?」
「そうだ。昼間のアレはいいのか?正直、あんな短時間で完治するとは思えんが」
「ああ、もう痛みも感じない上に傷も完全に塞がってる・・・委員長のおばあちゃんにお礼を言わなくっちゃな」
安心したように穏やかな声を漏らすユーシス。その後、上体を起こして左隣のリィンの方を向き、自身が疑問に思っていたことを吐露し始めた。いわく、入学式の時にアリサを庇ったことや、今回ユーシスとマキアスをとっさに庇ったリィンは本来褒められるべきかもしれない。しかし、普通の人間であれば反射的に自分を守るはずで、だから彼の行動が歪に見える、と。ユーシスの話を聞いていたリィンが「そんな風に見透かされるとは思わなかった」と驚くと、「お前が俺を見透かすようなことを言うからだ」と即座に返すユーシス。
「だが、お前のその在り方。ある意味“傲慢”であるのはお前自身も分かっているんだろう?」
「ああ、さすがにね。『自分の身も省みずに何が人助けじゃ、未熟者が!』
そんな風に老師にも叱られたよ」
「そうか・・・」
「フッ・・・まぁ、俺もついにはロヴァースさんに勝てなかったからな」
「俺たちは、未熟者同士と言うわけか」
全員が何らかを抱えて生きていて、未熟者同士だから悩み、苦しむ。それは自分たちに足りないことがあるからで、そう思うと何だかおかしくて笑えてきた。まだちっぽけな自分たちを誰からともなく声を押し殺して笑った後、夜ふかしするわけにもいかないので、明日の実習に備えて寝ることにした3人であった。
−仕立て屋 ル・ソレイユ−
「ファミィ。お願いだから話を聞いて」
「何でなの!?そんなにユーシスに優しくする必要なんてない!
・・・彼は他とは違うかもしれないけどお母さんを苦しめてきた紛れもない“貴族”なんだよ!?」
「ファミィ・・・」
ホテルのメンズが寝静まった頃、貴族通りの仕立て屋では穏やかとは言えない喧噪が家の中で響いていた。ミセリィはファミィを家まで送っていただいたお礼として、ほんの親切心で彼に余っていた毛皮で作ってあったコートをあげただけで特に変わったことはしていない。なのにどうしてこんなにファミィは怒っているのだろう。疑問に思うミセリィだが、まずは彼女を宥めなければ話もできない。そう考えた彼女は、丁寧に言葉を紡いでいくことにした。
「ユーシス様があの人を追放して下さったのは話したわよね?」
「・・・うん」
「実はそれ以来、私たちの家庭を壊してしまったとお考えになっているらしくて、色々と便宜をはかって下さっているのよ」
「そんなことが・・・で
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