第14話〜妾腹の息子と貴族嫌いな娘〜
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
したような相槌を打つリィンに少々怪訝な顔を向けて訊くユーシス。答えるリィンの考えとして、ユーシスの剣術は真っ直ぐなものだそうだ。信頼できる人から習わなければそうは身に付かない。だから兄、ルーファスが教えたのではないか。その考えにはケインも共感できるものがあった。昼間のやり取りで彼が兄に親しみがあるのは理解でき、冗談が言えるのも信頼があってこそかもしれない。リィンの話を聞き、黙り込んでしまったユーシスにどうかしたのかと言うケインに、リィンが改めて貴族らしくないと思っただけだと返す。
「はは・・・自覚はしてるよ」
「フン・・・そう言えばケイン。お前も宮廷剣術を使っていたな。どこで習得した?」
「・・・8年ほど前かな。ロヴァース・アルバレア。それが俺に剣術を教えてくれた人の名前だよ」
流石に予想ができなかったのか、ユーシスでさえも驚きで僅かに目を見開いている。確かに貴族の概念すらなかった村の住人と、大貴族との出会いなど普通は接点の無い話だろう。
「アルバレアってまさか・・・」
「父上の父、すなわち俺の祖父でもあるな・・・祖父上は今も壮健でいらっしゃるのか?」
「釣り好きな人だから夜が遅いこともあるけど、健康なんじゃないかな」
「そうか・・・」
呆れの入ったケインの言葉にそう返したユーシスは、「多趣味な人だからな」と付け加える。そして、ケインはまだ納得していないであろう二人のためになるべく偽りなき出会いの経緯を説明することにした。
「俺は8年前、四大名門の一角に村を滅ぼされて故郷を失って、独りで各地を転々としている内に帝都ヘイムダルのオスト地区に辿り着いた。そこにとある貴族老師、ロヴァースさんが住んでいたんだ」
「お前に、そんな過去が・・・」
「ああ。だから最初は四大名門を快く思っていないところがあってさ・・・すまない、ユーシス。君に対してもそんな感情を抱く意味なんて無いのにな」
「しかし、お前はどこぞの副委員長ほど・・・いや、それどころかそんなそぶりは一度も見せなかっただろう?」
確かに初めからユーシスを邪険にしたりはしなかったかもしれない。ある意味では彼の言ったことは正しい。しかし、それでもケインには言っておくべきことがあった。
「そういうことじゃないんだ。君に一時でもそんな感情を抱いたことが恥ずべき点なんだ・・・だから、すまない。ユーシスはあの人に似て、親切心に満ちた良い人だって、そう思ってるよ。こんな話の後じゃ信じてもらえないかもだけどさ」
「ケイン、お前は・・・」
お前はどこまで人に対して真摯な態度であろうとするんだと思ったユーシスだが、その言葉は飲み込んだ。彼の言葉に少なからず感銘を受けたからだが、そんなユーシスの心情に気づくこともなく、「どうし
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ