DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第二十六話
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での悲鳴でも、慟哭でもない。そこにふくまれた感情は、膨大なまでの戦意。破壊欲。
遍く否定する。
《拒絶》。
「どういうことだ……っ!」
ハザードの苦悶の声で、セモンは現実に引き戻された。
彼の大剣は、先ほどまでは《自我の太陽》にダメージを与えていたはずだった。だがどうしたことか。今やそれは、傷を与えるどころかその肌に触れることすらできていないではないか!
隣の刹那も同じような状態だった。心意の光がどれだけ強くなっても、《自我の太陽》にその刃が届かない。
「くっ……」
シャノンに化けたセモンは、《自我の太陽》の前に躍り出る。視界に入れば、多少は注目を――――
だが。
《自我の太陽》は、そもそも目に対象を移していなかった。そこに渦巻いているのは、《拒絶》の心意のみ。
「これは……っ!」
「今のは単純な《自在式》だよ。それも既存の。『世界願望』の強化は、キミ達が《神座大戦》に挑むころには概念対策、時間対策と共に必須となる要素の一つだ。『世界願望』が占めるその存在の内面を増大させることで、それ以外の影響を受けなくさせる。
今僕の惟神は、その無数の『世界願望』の中から『拒絶する』というワンフレーズに特化したそれを選んで、それだけに目を奪われている。
故に単純に君たちの攻撃は一切通用しないよ」
「そ、んな……」
つまり、道は閉ざされた、という事だ。
今までセモンは、シャノンの『自分は唯一』という心意を揺るがすことで、彼の防御を崩そうとしていた。だが今、他の存在を『拒絶』した《自我の太陽》には、そもそも周囲が見えていない。
つまり彼に、ダメージを与える手段はない。
それは即ち――――《詰み》。自分たちの負け、という事に他ならなかった。
セモンの擬態が溶けた。心意が弱くなって、形成を保てなくなったのだ。
同時に、視界が暗くなっていく。前に進んでも、後ろに進んでも、結局結果は《敗北》から変わらない。それじゃぁ、無意味じゃないか、と――――
その時。
《主》が、やけに優しい声で言った。
「そこでセモンに提案だ。
――――この状況を打破する力を与えよう。すなわちは究極の《変遷》だ。遍く全てを変貌させる、究極の自在式を与えよう。
この力があれば、《自我の太陽》を封じるだけでなく、キミの友人たちを現実世界に帰還させることも――――人々が君や他人に向ける感情や、そもそも彼らの存在自体を改変する事すら可能だ。
願ったことはないか? もっと強い力が欲しいと。祈ったことはないか? もっといい手を打ちたかったと。
この力があれば、その全てが可能になる――
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