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マフラー
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いた。やはりロングスカートである。
 「上に着るのは・・・これがいいわ」
 箪笥からベストを取り出した。赤いベストである。秋穂は赤が好きだった。
 着替え終わると下へ降りていった。トーストやミルクの匂いが食欲をそそる。
 「お早う」
 「あら、今日は早いのね」
 目玉焼きを焼きつつ晴美が言った。
 「わたしだって早く起きる時だってあるわよ」
 ほんの少し口を尖らせて言った。
 「今日の朝ご飯はパンね」
 「ええ、早く食べなさい」
 丁度トーストが焼けた。秋穂はトーストを二枚取ると皿に入れた。ホットミルクをコップに入れるとテーブルの上に置く。
 「はい、焼けたわよ」
 晴美が目玉焼きを皿に入れる。固く焼かれている。
 「あなたが好きなように固く焼いたわよ」
 「ありがと」
 テーブルに着く。両手を合わせいただきますの挨拶をする。
 「お早う、秋穂ちゃん」
 部屋の奥から声がした。晴美の夫理である。
 黒い髪を短めに切っている。一重瞼で眼鏡をかけている。縞模様のパジャマを着ている。背は晴美より少し高い程度である。小柄と言えば小柄になる。歳は晴美と同じ歳である。意外にも学生結婚である。大学を卒業した後ソフト会社に就職した。無難な仕事ぶりが認められこの前課長になった。真面目で堅実な人である。
 秋穂にも優しかった。妻と比べると地味で目立たないがそれでも夫として、父親としての責務は果たしている。こういう人こそ大切なのである。
 「お早うございます、お兄さん」
 トーストを千切ろうとしていた手を止め挨拶をする。理は笑顔で返しテーブルに着いた。
 「母さん、健児は?」
 「もうそろそろ起きて来る頃だと思うけど」 
 言う側から階段を下りる音がしてきた。
 「お早う」
 健児が下りて来た。髪は寝癖で乱れている。黒のタンクトップにトランクスという格好である。意外と筋肉質である。
 「あ・・・・・・」
 秋穂は顔を赤らめた。男の身体は充分に見た事は無い。この歳ではかなり遅れていると言われるが付き合った事も無いので仕方が無かった。
 「健児、服位着なさい」
 「いいじゃない、家族だけなんだから」
 「何言ってるの、女の子の前よ」
 「えっ・・・」
 言われて初めて気がついた。テーブルで秋穂が顔を赤らめていた。
 「御免、服着て来る」
 「早く着てらっしゃい、御飯冷めちゃうわよ」
 健児は駆けるように階段を上がっていった。
 暫くして健児が降りてきた。黒い学生服だった。
 「お早う、健児君」
 秋穂は改めて挨拶をした。
 「お、お早う秋穂さん」
 健児もそれに返した。何処かぎこちなかった。
 それから四人で朝食を
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