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バカとテストと白銀(ぎん)の姫君
sceneW 侍女の勤め
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を継ぐ事に成ってからと言うものは、御門家を名乗ってはいますが御門本家とも距離を取っているお家です。
ですから私と致しましては何故そこまで一族の総本家のような鏑木家と比べられなければならないのか、そのことを恐れ多くはありますがやるせなく思っておりました。

史は主家で在らせられる御門家の家庭内の事情に対して、恐れ多くも口を挟むことなど出来ません。
ですから、千早様がご家庭のことでお疲れに成られようとも史は何もして差し上げられることは無いのです。
ただ、何時も以上に千早様が過ごしやすく成ればと僅かな粗相もしないように、もし何か千早様が求めるものがあるのであれば直ぐにでもご用意できるようにと備えることしかできないのです。

「ただいま、史。今日も早いね」
「お帰りなさいませ、千早様」
玄関から入ってこられた千早様のお洋服は、私の通っております聖應のものと殆ど変わりません。
白い夏服が清楚さを表すようなのですが、千早様の場合はその銀の髪が衣の上を流れておりまして、全体と致しまして明るく活気あるように感じられます。
そう史が思うのは。千早様がここのところ少しばかり御元気になられたのと関係するのでしょうか。
「史、この前申し込みを頼んでおいた物はどうなったかな?」
「はい、こちらにご用意しています」
書類一式を千早様にお渡ししますと、確認をちらりとなさり、そして軽く頷きなさいます。
「ありがとう、史」
「当然のことです、ところでお食事はどうなさいますか?」
「あぁそうだね、8時ぐらいでお願いできるかな」
「承知しました、それではご用意できましたらお声を掛けさせていただきます。」
「うん、お願いするよ。」
そういって千早様はご自分の部屋に入られました。
「私も勉強などしましょうか。」
掃除も終わったことです、ちらりと時計に目を向けますと五時少し前ですから、二時間と少しは勉強できるでしょうか。
机を前にしてふと、考えてしまいます。
私は千早様の女性としての姿を見ていますと、何かを思い出しそうになるのです。けれども直ぐに何を思い出しそうになっているのか分からなくなってしまうのです。
分からないことをいくら考えても無駄なのでしょうか。
(滅私の心で奉公せよ)
そう大婆様のお教えを思い出し、揺れ動く心を断ち切りましてから私はノートをひろげたのでした。

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