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クルスニク・オーケストラ
第九楽章 実らぬ恋の必勝法
9-2小節
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」と二人してバッサリ一蹴されました。くすん。





 〜♪ 〜♪ 〜♪

「もしもし〜――」
『うわ、どうしたんだよ! すっげえ元気ない声!』
「ストレス発散のチャンスが長引いて滅入ってるだけです」

 ルドガーから、つまり部下からの電話。しゃっきりしなさい、わたくし。

「それで。ユリウス前室長とはコンタクトできました? 首尾は?」
『その……分史世界で、はぐれた』

 故意に逃がしたわけではないなら百歩譲って大目に見ましょう。

「《道標》は? ちゃんと回収してきました?」
『した。《海瀑幻魔の眼》だろ? ちゃんと持って帰った。そっちに戻ったら現物提出しマス』

 ユリウス前室長のことは残念ですが、《道標》が回収できたなら、わたくしに責める理由などありません。それを成し遂げるためだけに、どれだけのご先祖様が苦しんで悩んで傷ついたか、わたくしの頭には全て刻まれていますもの。

「おめでとう。こんなにいいペースで《道標》が集まるなんて今までの歴史でなかったわ。ありがとう。本当に、ありがとう」

 貴方はわたくしたちの最大の希望なのかもしれませんね。ルドガー・ウィル・クルスニク。

『俺のほうこそ。前に教えてもらったことがあったから、ちゃんと戦えた。ありがとう――ござい、ます、先輩』
「いいえ。ではイラート海停で帰投を待ちます。任務ご苦労でした、ルドガー」

 電話を切る。

 ああ、本当に、今日は何て善き日でしょう。
 これだから、人生というものは素晴らしい。
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