第七話。ロア
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
振り向いて、姿を見た。可愛い女の子だった。もえもえ。しかし別に死ななかった』という噂が流れてしまい、その噂が『定説』になった瞬間。私は『ただの追いかけるだけの可愛いもえなロア』になってしまいますから」
そんな都市伝説がいてもいい気もしなくてもないが、本人からしたらたまったもんじゃないな。
「噂に左右される存在なのか『ロア』は?」
「その通りです。従って私のような『ロア』達は、その存在を隠しながら、時折犠牲者を作る事で存在性をアピールし続けなければなりません」
「存在性のアピール……ああ、蒼青学園の女子が襲われたけど生き延びた、とかか?」
「あれは定期的に、様々な学校にいる『三枝さん』に広めて貰っているものです」
一之江の話によると、三枝さんは様々な学校にいる『ロア』に協力している人物達らしい。
彼女達はロアと人間を繋ぐサポーターみたいな感じのようだ。
その後も一之江の話は続いた。
『ロア』という存在は要約すると伝承や噂話から生まれたり、改変されたりしたものらしい。
『元々そういう人間以外の存在が『ロア』になった』のか、『噂される事で『ロア』として生まれた』のかはわからないみたいだが。
「大変だな、『ロア』達も」
「何を他人事のような顔をしているのですか『百物語』の主人公さん」
「……は?」
「貴方は『8番目のセカイ』によって『百物語』の主人公に選ばれた、101番目の主人公……『ハンドレッドワン』、そう呼ばれる存在なのですよ」
「……」
驚きのあまり、言葉を失ってしまった。
今、彼女はなんて言った?
「貴方もとっくに、『ロア』として片足を突っ込んでいる状態という事です。
いずれは私と同じ『ハーフロア』になるでしょうね」
「ハーフ、ロア……?」
「人間から、ロアになった者です」
彼女の口から出た言葉に、この時の俺はただ、ただ、絶句する事しかできなかった。
時は少し進み______
2010年5月12日13時20分。
夜坂学園2年A組。
「わっ、モンジ君が瑞江ちゃんと遅刻して来た!」
昼休み。教室に入った瞬間にキリカが大きな声で騒いだ。
直後、『ざわっ……』とクラスメイト男女全員が弁当を食べる手を止めてどよめいた。
「ふっ、あんまり騒がないでほしいな。
ほら見てごらん、彼女が子猫のように怯えてしまったよ?」
あの後に起こったちょっとしたハプニングでまたなってしまった俺はキリカを嗜めながら、視線を隣りに立つ一之江に向けた。
「こ、子猫とか、な、何を言っているんですか??
馬鹿なんですかー貴方は」
「わあー。瑞江ちゃんは怖がりな子猫ちゃんだったんだっ!」
「いえ。ただの子猫
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ