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101番目の舶ィ語
第七話。ロア
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たな」

ちょくちょく聞く言葉。あまり聞き覚えはなくても、覚えやすい単語だ。

「ええ。それぞれの『ロア』には、それぞれしか持たないルールがあります。
例えば私の『呪言人形(メリーズ・ドール)』のロアはご存知の通り、相手を追い詰め、最終的に振り向かせ、自分の姿を見せる事で殺害及び復讐します。
いざとなれば相手の首をへし折ってでも振り向かせて、殺害となるわけです」

「……だけどな、首を折って、と言うがそれだと相手を振り向かせる事は出来るが振り向かせる前に死なせる事が出来るんじゃないのか?」

首を折られれば人は死ぬ。
我ながら物騒な事を言っているが人を殺さないように相手を仕留めなければいけない武偵ならそうならない為に強襲するのは常識な事。
いや、武偵じゃなくても常識な事だ。
首を無理矢理折られれば、普通人は死ぬ。
だから、『殺害する為に振り向かせる』と『振り向かせる為に首を折る』という行為には矛盾が生じる。

「一度『ロア』の持つ都市伝説的なルール、『ロアの世界』に包んだ相手ならば、そのルール以外の行為はあまり影響を与えない可能性が高いのです」

「どういう事だ?」

「簡単に言えば、私が追いかける対象は、首を跳ねても死なない可能性があります」

「……マジか」

その『矛盾』すらも、まるで物語のしかけのように語る一之江。
実際に誰かの首を跳ねた事はなさそうだが、その可能性がある、というだけでも恐ろしい。

「都市伝説で発生する現象の多くは、論理的、科学的な検証が不可能です。
『物語』的な論理が全てを支配します。
それらの都市伝説が現実のものとなり『ロア』という存在になった瞬間。そのロアが影響する範囲の世界法則はそれぞれの『ロア』の法則となります。
それが『ロアの世界』です」

もの凄い話しで大変馬鹿馬鹿しい話しだが、笑うに笑えん。
昨日、その『ロアの世界』というものを身を以って体験したからな。

あの、誰もいない、音もない空間がその『ロアの世界』だったんだろう。

「故に、私のように『殺す』系のロアの場合、基本的に殺害します」

「本当に……殺すのか」

「それはもうさっくりと。それが私のロアですしね」

「そういうもの……なのか」

認めたくないが『そういうもの』としか現せない現象。それが『ロア』なのだろう。

今こうして自分が生きている事が奇跡に思える。
もしあの時、ヒステリアモードではなかったら?
一之江に振り向いたあの時、『姿』を確認しながら抱きついていたら?
果たして俺は生きていられただろうか?
そんな風に思ってしまった。


「それに、もし殺さなかったら、噂を流される可能性もありますから」

「ん?どんな感じのやつだ?」

「『
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