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運命の向こう側
プロローグ2
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られた。
 関東魔法協会は、よく言えば落ち着いた、悪く言えば緊張感の足りない組織だ。ゆえに、集合時に騒がしいことはままある。だが、今回は剣呑とした、怯えを含む悲鳴のような声ばかり。そんなものが飛び交うのは、ついぞ聞いたことが無い。
 予想を遙かに超える混沌に、刹那は呆然とした。

「答えはこうだよ。潜在的な危険があっても、実行する力を失った闇の福音。それが霞むほどの危険人物になる」
「……これほどなのか」
「ああ、これほどさ。と言っても、私やお前にとっては危険度は、少なくとも魔法使い達よりは高くない。せいぜい下手な刺激の仕方をしなければいいさ」

 それを捨て台詞に、真名は離れていった。麻帆良の一員とはいえ、彼女の形式は外部協力者である。
 刹那も、魔法生徒の一団に混ざってから、改めて周囲を見回した。集まった人数は、予想を遙かに超えて多い。学園長室どころか、この大講堂からも溢れそうなほどである。恐らく、必要最低限を残した、麻帆良の魔法関係者全てが集まったのだろう。そう思わせるほどの人数だった。
 喧噪は収まらず、不安の声も尽きない。それは、関東魔法協会の責任者、近衛近右衛門が壇上に上がっても、同じだった。

「皆、静粛に」
「学園長、噂は本当なのですか!?」

 どこかの誰かが、言葉を半ば遮るように絶叫した。一度箍が外れれば止まらない。一瞬さざ波まで収まった音が、次には津波にまで成長していた。
 しばらく話にならない。冷静な――他人事と言ってもいい魔法使い以外の者は、そう考えていた。その考えを改めたのは、学園長の強烈な一喝だった。

「黙れと言っておる! いつまで無駄話を続けるつもりじゃ!」

 強烈な、スピーカーを介さない怒声に、一瞬で静まりかえる。どこか一歩引いていた刹那ですら、背筋を伸ばし直したくらいだ。
 ぐるりと、近右衛門が一周睨みを効かせる。その視線に晒された人たちが、目に見えて萎縮していた。会場の全てが統制下に入ったのを確認し、近右衛門は口を開く。

「本日の議題は、次期の監察魔術師についてじゃ」

 やはり……小さく声が上がった。しかし、今度は雑音にまで発展しない。わずかに漏れた声はすぐに空間に消え、次の近右衛門の言葉を待つ。
 学園長の雰囲気は、恐ろしく神妙だ。普段の、ともすればふざけているとも取れる、おちゃらけた空気。それは同時に、安心感も与えていたのだと思い知らされた。

「とはいえ、今更回りくどく言う意味もなかろう。今までの監察官は解任し、次に来るのは、あの衛宮士郎じゃ」

 ひぃ――今度は近右衛門の威ですら止めようが無く、声にならぬ悲鳴が上がった。どこか1カ所ではない。講堂全体で。

「きょ、拒否を! 拒否をすることは出来ないのですか!?」
「無理じゃ。この件において
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