“渇き”の乱入
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言うよりグラトニーへ向けて呟いた。
「……侘びだ」
『ア? 何か言ったカヨ』
「……閉口、無言、空耳だろう……」
『デ、何処行く気だお前』
「俺の勝手だ……目的の為と、渇きを癒す為にな」
『ソウカイヨ』
サーストは数かに傾けていた顔も戻して、大きく跳躍し今度こそこの場から立ち去った。後に残るのは凄惨且つ巨大な破壊跡と、気絶して倒れるグラトニーのみ。
気絶したばかりだからか起きる気配が全くない彼女に、ラースは声はかけずに訝しげな声を出す。
『相棒が抜けがらとか何言ってんだカネ』
深く大きく溜息を吐いてから、数分ほど時間を置いて今度はちゃんとグラトニーへ声をかけ始めた。
『オーイ……早く起きねーと記者に囲まれるかもしれないゼー。変身ヒーローじゃねぇんだカラ、気絶しようと時間経とうと元には戻らないからナー……』
未だ起きないグラトニーに、ラースはせめて面倒事は起きないようにと願うのだった。
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辺りには斬撃の跡が無数に付けられ、赤く熱せられた地面が時折躍るかの如く爆ぜる。
何合もの剣と剣のぶつかり合い……せめぎ合う争いの中心に居るのは、小さな体に似合わぬ天をも焦がす大炎司る赤い戦士テイルレッドと、竜の風貌と歴戦を潜り抜けてきた風格漂わせる怪人ドラグギルディであった。
「そうか、お前の剣、その技は!」
「そのとおり、我が絶技は!!」
二人は睨み合い、より強い一撃をぶつけあって飛びのき……下げていた顔をお互い同時に上げて咆哮を放つ。
「「ツインテールの剣技!」」
「うぼぃっ!?」
……なんだかえらく真剣な場の雰囲気に合わない、珍妙な発言が飛び出した様に聞こえたが……恐らく聞き間違いではない。
その証拠に、今し方やってきたテイルブルーがつんのめってこけかけ、そして何とも言えない微妙な表情で佇んでいる。
何が起きてこうなったのか分からない皆さまの為、なるべく簡単に説明しよう。
今日この日、アルティメギルの襲来をレーダーで感じ取って、現場に現れた兎のエレメリアンを一刀のもとに叩き伏せたテイルレッドは、最近歯ごたえのある相手がおらず流れ作業になっていると感じ、同時に何でこんな山の中に現れたのかも疑問に思っていた。
しかし、気にしていても仕方ないだろうと、一先ず帰ろうと踵を返した瞬間……宙空から突如としてドラグギルディが襲来。
テイルレッドは今まで通り迎え撃とうとするも、今までのエレメリアンとは違う気迫を感
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