明け方の少女の心に
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のとこに行けたら――――』
『もし、なんて言葉は聞きたくないねー。今ある事象が全てだよー』
『ん、その通り。人は与えられた時間で過ごすからこそ。だからそういうのは好きじゃない』
『……ちょっとくらい考えてもいいじゃない』
『まあ、そうだけどさ』
『……じゃあそうなったら、きっと大陸全てを掌握出来ると思う』
『……』
でも諦めきれなくて、精一杯抗って抗って、醜くても、初めて出来た友達の為にと、恥を承知であの方に頼み込んだ。
そんなもしものカタチを……私が必ず掴み取ってやろうと、心に決めた。
彼女の大切を奪ってでも、彼女を助けたかった。
明は、大バカで、人として壊れていて、夕が居ないと生きていけない人形のよう。
でも、明が欠けた夕を考えられないから、二人共を助けないとダメなのだ。
彼女達は二人で一つ。私の求めた友達で、幸せのカタチ。
この戦が終わったら、また三人で……ううん、もっと大勢で、笑い合おう。
†
どちらも思い描いていた絵図の通りに戦が進み、局所的戦場は残す所あと四つ……と互いの軍師は考えていた。
白馬を放棄した袁紹軍。余りに呆気ない、戦闘さえ行われないという事態に白馬義従の澱みは抑えられるわけも無く、曹操軍の兵士千人を街の慰撫と防衛に当て、雛里は進撃を選んだ。
桂花は既に一つの目的の為に、雛里とは別行動を取っていた。
烏巣の兵数、夕の思考、拠点の数……そして袁家の本拠地南皮での動き。全てを並べてみれば、桂花は夕がどんな状況でどんな策を打つかある程度分かる。
使うとすれば二つの計略。調虎離山……敵を本拠地から誘き出して戦う兵法三十六計の一つと……桂花と仲のいい関係を利用した反間計。
普通なら、現在の袁紹軍のように、優勢で於いて使う策では無いかもしれない。特に決戦主体のこの世界では。
しかし、桂花はその策を有効手だと感じた。そして自身の主も既に気付いているだろう、とも。
実力への信頼は誰より高い。ずっとずっと見てきた主だ。自分に予測出来た事を、同じような思考能力を持つ軍師を幾人も並べておいて、予測出来ないわけが無いのだ。否……黒麒麟を追い詰めた過去を鑑みれば……一人でも辿り着いているだろう。
ただ、今回は桂花が居なければならない。如何に覇王でも……覇王だからこそ、相手が悪い。曹操軍の被害や勝利確率の話では無く、夕と明に関してである。
夕、もしくは明を本当の意味で見極められるのは彼女だけだから……というわけでも無かった。
――夕のバカ……本当にバカなんだからっ! なんで……なんで予想も立ってるはずなのに逃げないのよっ
速く着けと願い、脚を苛立ちから揺らしながらの馬車の中、桂花は歯を噛みしめて拳を握る。
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