第九幕その十一
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「他の人達もね」
「僕達もかな」
「ええ、かかしさんにね」
かかしを見ての言葉です。
「木樵さんにムシノスケ教授、それにトトね」
「僕も知ってるんだ」
「貴方も有名よ」
「ふうん、そうだったんだ」
「ドロシー王女の一番古いお友達よね」
「カンサスにいた時からのね」
トトも答えます。
「友達だよ」
「だから貴方もね」
「有名なんだ」
「私でも知ってる位に」
そこまでだというのです。
「そうなのよ」
「ううん、そうだったんだ」
「そのことはわかったわ」
そうだとです、ドロシーはヘラジカさんに答えました。
そうしてです、あらためて言うのでした。
「けれどね」
「群れにはっていうのね」
「このことは絶対よ」
またヘラジカさんに言うドロシーでした。
「いい?さもないと貴女にとって大変なことになるわよ」
「鹿は皆と一緒にいてこそなの」
「そう、だからね
「何か随分言われるわね」
「言うのも当然よ、皆初対面でも貴女のことを思うからよ」
だから厳しく言っているというのです。
「ましてや家出なんて」
「余計によくないっていうのね」
「早く帰るの、ここで寝ていないで」
「美味しい牧草も食べたし?」
「そう、お腹一杯になって少しは落ち着いたでしょ」
「確かにね」
「それで落ち着いて考えてみたらどうかしら」
ドロシーはヘラジカさんの目を見つつ尋ねました。
「家出がよくないことってわかったわよね」
「少しはね」
「少しでもそう思ったらよ」
「群れに帰るべきっていうのね」
「何なら私達が一緒に行くから」
同行するというのです。
「それならいいわね」
「そこまで言うのなら」
ヘラジカさんも応えました、そうしてなのでした。
一行は大学に戻る前にヘラジカさんのことをどうにかすることになりました、この家出した娘をお家に群れに返すことをです。
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