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舞台は急転
第九章
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かってるけれど」
 答えはするがやはりその顔を俯けさせていた。
「しっかりしないとね」
「そうよ。ここまで来たら後は」
「度胸だけよ」
 この言葉が出されるのだった。
「度胸ね。いいわね」
「そうね。それじゃあ」
「腹括りなさい」
 周りがこう励ましてくれたのでとりあえずは立ち向かう気構えができた。そうしてその気構えのまま相手を待っていると暫くして。彼が来たのであった。
「さて、西園寺君よ」
「妹さんもいるわよ」
「え、ええ」
 周りの声を聞きつつ自分の席で俯く有美だった。
「わかってるわ」
「わかってるのなら顔上げなさい」
「彼、こっち見てるわよ」
「見てるの」
 そのことを聞くと胸の鼓動が早くなるのを感じてしまった。
「こっちを」
「間違いなくあんたをね」
「見てるわよ」
「そうなの」
 そのことを聞くと鼓動がさらに早まった。
「私を」
「だから。覚悟決めたんでしょ?」
「堂々としなさいよ」
「それはわかっているけれど」
 一応は応えはする。
「けれど」
「けれどもそれでももなくて」
「顔上げて」
「ええ」
 言われるままに顔は上げた。それで姿勢はしっかりとした。

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