DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第二十五話
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ったいどれだけ強大な心意力を誇っていたのか。
今更ながらに、その差を痛覚させられる。
『ルォォォォオオオオ――――――――……ンン』
慟哭の如き咆哮を上げて、二対の巨剣が振り回される。技巧も何もあったものではない、ただただ本能に従っただけの《破壊》だが、それ故にひどく恐ろしい。
《自我の太陽》は腕が四本あり、その全てに巨剣が握られている。先ほど『二対の』と言ったのはそう言うわけだ。その全てが別々に動くため、攻撃の起動が読みにくいのも苦戦の一因となっている。
――――今だって、ほら。
全長二メートル半ほど――――アインクラッド時代のフロアボスに匹敵するだろうサイズの、その慟哭の魔神は、振り上げられたばかりの右の第一腕を、無理やり振り下ろした。
「くぉ……ッ!?」
ハザードがあわててその場を退いた直後、ズバガァァァンッ!! という背筋の凍るような破壊音と共に《白亜宮》王城の床が破壊された。
直後、恐るべきスピードで粉々になった床が再生して行く。全く、ずるいとしか言いようがない。向こうはこれだけの破壊を起こしておきながら、全くデメリットがないのだ。
対するこちらは一撃でももらったら即死確定という絶望的な差。
こちらの攻撃は一切通用しない。
対するあちら側の攻撃は、当たれば勝利が確定する。
圧倒的な不利。両者を隔てるのは、絶望的なまでの格差。それは奇しくも、セモンがSAO時代に痛感した物と同じだった。
当時――――セモンのレベルは70。対するシャノンのレベルは149。倍以上のレベルを持つ彼が、攻略組を殲滅してその血の中でけたたましく嗤いながら踊るのを、セモンは止められなかった。
あの時と同じ、無力感。
彼には勝てない。
ずっとそうだった。シャノンはずっとずっと先を行っていた。だれも必要としていなかった――――
――――違う!!
そんなことはない。
シャノンは、天宮陰斗という人物は、恐ろしく孤独だ。誰かの愛が欲しいのに、それを心の奥底から「不要」と断ずる、矛盾した内面の持ち主。
孤独を装うために、欲しいものも、何もかも傲慢に《否定》した存在。圧倒的な防御力はそれ故に。
《破壊》の世界願望は、その現れ。未来を破壊し、停滞する。過去を破壊し、振り返らない。現在を破壊し、とどまらない。
結局、何処にも存在できなくて、消えてしまう。
彼は――――孤独で。小さくて。
どれだけ強大な力を持っていても。どれだけ否定しても。陰斗は、誰かがいなければ、生きていけないのだ。
清文に琥珀が必要
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