第1章
旧校舎のディアボロス
第1話 士騎明日夏
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「あ、千秋じゃん。いま帰りか?」
話しかけてきた女子生徒の名前は士騎千秋。駒王学園の高校一年で俺の妹だ。
俺と同じく、イッセーとは幼馴染みで、イッセーのことは兄のように慕っていた時期があり、俺のように「イッセー兄」と呼んでいる。
「うん。松田さん。元浜さん。こんにちわ」
「「こんにちわ、千秋ちゃん! 今日もかわいいね!」」
千秋の挨拶に松田と元浜がテンションを上げて応える。女子にまともに相手にされない機会が多い二人にとっては嬉しいことなんだろうな
千秋も二人が悪い奴らじゃないと知っているので、二人のことは嫌ってはいない。
「おっと。そろそろ時間だな。俺、行くわ」
「あっ、俺も!」
松田と元浜がいやらしい笑顔を浮かべてどこかに行こうとする。
気になった様子のイッセーが二人に訊く。
「どこ行くんだよ?」
「「お前も来るか?」」
「明日夏、千秋、また明日!」
二人から誘われたイッセーは何かを察したのか、俺と千秋に別れを告げると二人についていってしまう。
・・・・・・去り際のイッセーの顔は松田元浜と同じようないやらしい表情だった。
・・・・・・またか、あいつら・・・・・・。大方、またどっかに覗きに行ったな。・・・・・・やれやれだ。
「・・・・・・イッセー兄・・・・・・」
隣から千秋の落ち込んだような声が聞こえてきた。
千秋がここに来たのは、イッセーと一緒に帰るためにイッセーを探していたからだ。
その理由はまぁ、千秋がイッセーに好意を寄せているからだ。
幼少の頃ころ、千秋はとある理由で引きこんでいた時期があった。それを立ち直らせるきっかけとなったのがイッセーだ。以来、千秋はイッセーのことを兄のように慕い、次第に好意を抱くようになったわけだ。
そういうわけで、千秋はなるべくイッセーとの二人きりの時間を作ろうと、いまのようにイッセーと一緒に登下校などしようとする。家も向かいどうしだしな。
で、邪魔するのもアレなので、俺はあれやこれやとテキトーな理由をつけて、二人とは別々に登下校をしている。
「いっそのこと、さっさと告白したらどうだ?」
これで何回めになるかわからないことを言うと、千秋は耳まで顔を真っ赤にしてしまう。
このように、千秋はイッセーのこととなると途端に奥手で恥ずかしがり屋になる。そのせいか、いまだに告白できずにいる。
「ま、後悔するようなことがないようにな?」
「・・・・・・うん・・・・・・」
俺の言葉に千秋は静かに頷く。
「ならいいが。──で、どうするんだ? このまま待ってるつもりか?」
「そうする」
「なら、俺は先に帰る。気をつけて帰ってこいよ?」
「うん。わかった」
俺は千秋を残し、その
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