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青い春を生きる君たちへ
第2話 購買で
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もがお前の言うことになんて従う訳がねえだろ?お前、昼休み小テストの再試受けにいってたよな?だからお前が来るまでにメロンパン売り切れちまったんだろ。そもそもお前が再試になんてなってなきゃ、お前はいつも通りメロンパン買えたわけ。自業自得だろうが。それを?たまたま最後の一個が目の前で売り切れたからって?俺に責任転嫁か。人のせいにすんなって幼稚園で教わらなかったのか?わがまま言うなって親に教わらなかったのかよ?ちょっと偉そうな面すれば何でも言う事を聞いてくれるなんて、思い上がりやがってよ。何でも自分の思う通りになると思うなよ、世の中はなァ、お前のお母さんじゃn……」
「はーい、ストップストップ。そこまでー。」


不意に、小倉と瀬尾の間に1人の男子生徒が割り込んでくる。この修羅場に似つかわしくない爽やかな笑顔、顔立ちは正統派のイケメンで、背も高く、体格も良い。その顔にも小倉は見覚えがあった。確か、田中智樹といったか。同じクラスの優等生で、成績優秀、スポーツ万能、少し見ただけでは欠点を見つけようがない、そんな奴だったような気がする。その田中の手には、売り切れたはずのメロンパンが握られていた。


「ほら、雅子、メロンパンは俺が買っといてやったから。だから機嫌直せよ。それに小倉くんも、ちょっと言い過ぎだぞ。」


小倉にケチョンケチョンにこきおろされていた瀬尾は、最初の勢いはすっかり萎えて、今はしゅんとしおらしくなりながら、田中からメロンパンを受け取る。田中は涙目の瀬尾をあやすようにして、機嫌をとっていた。


(……ああ、この学校で、先生以外に名前呼ばれたの初めてだったな)


小倉は田中と瀬尾の様子から目を逸らし、1人奇妙な感慨に浸っていた。


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