第2話 購買で
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う人間が全て臆病者に見えてきて、まるで自分が偉くなったように思われて声がデカくなっていく。大体そんな所だろうか。とにかく、考えてみたところ、チャラ男と、それにディスられる隠キャの間には、実はそれほどの差異などない事が分かる。今すぐ両者の格好を逆転してやれば、さっきまで背中を丸めていた方の生徒が途端に偉そうになって、偉そうだった方の生徒がしおらしくなる事まで予想された。
そして、小倉にはここが疑問なのだが、何故そんな無根拠の横柄さに対して、あのディスられた側の生徒は何も異議申し立てずに、あんな卑屈な態度をとって見せるのか?顔は不愉快そうな表情を見せているのだから、そんな横柄な態度をとられる事に不満は抱いているのだろう。だったら、問うてやれば良いではないか。貴様の何が自分より上なのかと。それをせずに背中を丸めてブツブツ言ってるだけなのは、相手との間に上下関係を認めているようなものだ。俺はムカついている、でもそれを面と向かって表明することはできない、恐れ多いから!あの卑屈な態度は、そう高らかに宣言しているようなものだ。そんな無根拠の上下関係を進んで受け入れているんだったら不満げな顔なんてするなよと言いたい。本当のところ、見下されている今の立ち位置が分相応だと、自分でも思ってるのだろうに。
そこまで考えて、小倉はため息をついた。転校してきて、やっと普通の学校生活に戻れると思ってみれば、普通の学校生活とやらも、その本質は前の学校と変わりはなかった。誰かが好きに振る舞えば、誰かがその割を食わされる、勝者と同じだけ敗者が出るゼロサムゲーム。ただ違う点は、前の学校の方が、その勝敗の基準がハッキリしていた。基準だけでなく、結果も今よりハッキリしていたように思う。今のは全てがモヤモヤだ。何で勝ってるのか、何で負けてるのかも、よそ者の自分にはぱっと見では判断がつかないし、勝ち負けの結果もどうもヌルい。
(ああ、そうか。さっき「負け」ていた奴が本気にならないのは、負けたって大したこと無いからか。平和って事だな。負けてる奴も、自分が負けてるとイマイチ気がつかないし、負けながらにして生きていくのもそう苦しいわけじゃないんだ。そりゃ、結構なことだ。)
小倉がまた内心でつぶやいているとチャイムが鳴り、教師が部屋に入ってくる。ダラダラと生徒が席に戻り始め、何故か授業の開始に悪態をつく、学校という場所が何の為の場所なのか理解していない馬鹿もちらほら居るが、教師もバカの相手には慣れてるのか、相手にはせず、それはつまり馬鹿につける薬はないということだろう。小倉も、机の中から教科書を出した。4限目が始まった。
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チャイムが鳴り、昼休憩になると、また学校中が騒がし
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