DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第二十三話
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しをされて、現在のキリトは過去最強級のそれをはるかに上回る戦闘能力を発揮できている。
だがホロウは、それの一歩先を行く。それに追いつこうとキリトが速くなればなるほど、彼女も早くなるのだ。
結果として、今だキリトの剣はホロウに一度も届いていない。だがそれと同時に、ホロウの剣もキリトに一度も届いていない。
しかし――――しかしだ。彼女とキリトの間には絶対的な差がある。
ホロウは、疲労しないのだ。現にいまでも、彼女は涼しそうな顔でこちらを眺め、微笑んでいる。
「どーしましたかー? あ、もしかして疲れちゃいました?」
「うるせぇよ……」
ホロウの喋り方は、なんというかこちらをあやすような、ほわほわしたモノだ。不快感を感じさせないが、だがそれ故に非常に焦りを募らせる。
こいつには、何も効いていない。
こいつには、何も通用しない。
こいつには――――勝てない。
「うるせぇよ……!」
再び、今度は自分の心に向かってそう言い、不安を鎮める。叩き潰す。
「俺は……負けない!」
そう、負けない。
負けられないし、負けない。
だって自分は――――《黒の剣士》だ。
いつかまでは、ずっと嫌っていた、この肩書。《二刀流》のキリトとして、英雄として、讃えられることを、求められることを、心の底から嫌悪していた。
だが今はもう違う。
この名は誇り。
この名は希望。
皆の心を救って、その心を預かる――――そんな、勇者としての自覚が、いつの間にかキリトの中にできあがっていた。
《白亜宮》の天井を侵蝕した、キリトの黒い《夜空》に瞬く星たち。その内の一つが、静やかな青い光を放った。
キリトの《夜空の剣》が姿をけし、代わりに現れたのは一丁の銃。
《ウルティマラティオン・ヘカートU》。《銃の世界》における、シノンの愛銃。
そのトリガーを引き絞って、放つ。
銃口から発せられたのは、弾丸ではなかった。燃え盛る輝き。《弓》ソードスキル――――
《エクスプロード・アロー》。
「ふふっ!」
笑いながら、ホロウは銀の大剣を振るう。矢たちが弾かれ消える。
星たちの一つ、風のように踊る緑色の星が輝いた。
《ヘカート》は姿を消し、代わりに現れたのは、銀色のロングソード。キリトの背中に、妖精の翅が伸びる。
「せぁぁぁぁっ!!」
大上段から振りかぶられたロングソードが、剣道の面打ちのようにホロウを穿つ。今度は金色の剣がそれを迎撃。
銀色の猛々しい星が輝く。
ロングソードは掻き消え、代わりに一本の重厚なメイスが出現する。號と音を立てて
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