空白期 第17話 「フェイトの初デート?」
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考えてはくれてるようだけど……何で顔が赤くなってるんだ?
走ってきてすぐに歩き始めたから体温が上がっているからか。それとも見られるのが恥ずかしいのか……。それに何かぼそぼそと言ってるけど、嫌なら嫌ってはっきり言ってほしいんだけどな。まあ性格的にそういうのは難しいってのは分かってるけど。
「別に嫌なら無理する必要はないからね」
「ぇ……う、ううん嫌じゃないよ!」
「本当に?」
「うん! えっと服屋に行くんだよね。時間ももったいないし行ってみよう!」
そう言ってフェイトは俺の手を握って歩き始めた。周囲の人から見られているわけでもないのだが、彼女の足取りは早い。
――そんなに急ぐ必要もないと思うんだけど……渡す相手が相手だけに色々と見て回って決めたいのかな。……にしても、ここまで強く握られると嫌でも意識させられるな。レヴィと手を握っても恥ずかしいとか思わないのに……やっぱり見た目が同じでも違うってことか。
「あの、ここでいいかな?」
「あぁうん、君の好きなところで構わないよ」
「じゃあここ……」
普通に会話していたはずだがこちらを向いたことで俺の手を握っている自分の手が見えたのか、フェイトの視線は俺の顔と繋がれた手を行き来する。彼女の顔はみるみる赤みを増し、表情からは冷静さが消えていく。
「ごごごめん!?」
「いや、別に謝らなくても……聞いてない」
視界に映っているフェイトは、こちらに背中を向けて何か考えているようだ。
何か問題があったわけでもないのだから反省する必要はないと思うのだが、こういう状態に入ったフェイトはなかなか戻ってこない気がする。
――落ち着くまで待つべきか、それとも強引にでも店の中に連れて行くべきか。待つとなるとどれくらい時間がかかるか分からないけど、この子相手に強引なのも躊躇われる。
「……誰か呼ぶべきかな」
「え? ……そうだよね。私とじゃ……」
「ん? えっと、君といるのが嫌だとかじゃないから。ただ他にも居た方が君が落ち着くかなって。異性とふたりって慣れてなさそうだし」
「それは……ショ、ショウとふたりで大丈夫」
「本当に?」
「う、うん……確かに慣れてないけど、いつもどおりにできるよう頑張るから」
「うーんと……まあいつもどおりといえば、今日もいつもどおりだと思うけど」
「ぅ……そういうこと言わないでよ」
「ごめんごめん。でも、こういうのが俺と君のやりとりだっただろ?」
「あ……うん」
返事をしたフェイトの顔には、穏やかな笑みが浮かべられている。どうやら少しはいつもの彼女に戻ったようだ。
俺達は店の中に入ると子供用の売り場へと向かう。子供の姿が全くないわけではないが、大体が母親と一緒なだけに俺とフェイトは少し浮いているかもしれない
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