銀河動乱
暗黒星雲の罠
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星の女王が眦を決し、火の付いた様に喋り出す前に片手を挙げて制止。
暗黒星雲同盟を率いる青色人《ブルー・マン》、最高評議会第一発言者が私を見た。
「物事は建設的に進めたい、と言ったな。
私も賛成だ、疑問点を確認させて貰おう。
大帝暗殺の濡れ衣を着た私に、玉座を提供する?
真面目に話を続ける気なら、然るべき説明があって当然と思うね」
「無意味な演説を聞かされずに済んで、助かるな!
簡単な事だよ、ザース・アーン。
私が銀河系統一政府を組織すれば、どうなると思う?
血統を重んじる連中は現実を認めず、反乱の嵐だろうね。
統一政権の最高指導者が君なら、話は別だ。
中央銀河帝国王家への忠誠は、骨の髄まで染み込んでいるからな。
玉座に君を据え、私は宰相として軍事組織や統治機構の実権を握る。
合理的に適材適所、役割分担を提案する次第さ。
無用の反乱を鎮める御守り、抑止力として私は君を必要とするのだよ。
虚栄に興味は無いが、マゼラン星雲征服の準備を整えたい。
どうだね、論理的だろう?」
身体を乗り出し、熱弁を揮う私の似姿には感銘を受けた。
内容も内容だが、妙に説得力がある。
私は自由惑星同盟《フリー・プラネッツ》の議長と異なり、自己陶酔者《ナルシスト》ではないが。
予想外に強烈な讃嘆の念を覚え、自分に呆れた事は告白せねばなるまい。
「私は、ザース・アーン本人ではないよ。
馬鹿馬鹿しい戯言と思われるだろうが、御静聴をお願いする。
中央銀河帝国の第二皇太子が地球、ソラー星系の第三惑星に籠っていた理由は何か?
彼は皇帝家の重責を厭い、出奔した事になっているがね。
フォマロート王国、ポラリス王国、ヘラクレス男爵領を円滑に統合する秘訣を得る為。
地球統一の過程、シリウス星区一帯の反地球感情を観察する為であったのさ。
人類は銀河系全域に拡がり、20万年に及ぶ闘争が展開された。
恒星王国群の興亡、盛衰には一定の法則《パターン》が幾度も現れる。
何故、歴史は繰り返されるのだろうか?
地球で発掘された遺跡に残る書物、古文書に解明の鍵が記されていた。
20数万年前の歴史研究家達も既に、同じ疑問の解決を試みていたのだ。
彼等は数学的な演繹で解を導き出す為、大衆心理学を応用した。
心理歴史学《サイコ・ヒストリアル》の実験、研究成果は残念な事に継承されていない。
時を越えて物資を転送する事は難しいが、精神は時を超える。
第二皇太子の協力者達は精神感応増幅装置、時間転送機を創った。
過去界に赴き様々な情報の解析、法則《パターン》の特定を試みる為だ。
別人の身体に精神を転送、情報収集後に帰還の実験が
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