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万華鏡の連鎖
銀河動乱
暗黒星雲の罠
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「ザース、気が付いたのね!
 コルビュロが貴方を麻痺させた後、私達は潜宙艦に連れ込まれたの。
 帝国艦隊の監視パトロール、哨戒網の盲点を突いて暗黒星雲に向かっているみたいよ。
 地球の時みたいに想定外の巡航艦が現れても、闇≪ダーク≫航行に入れば見つからないわ!!」

「前回の失敗に懲りて、学習した訳か。
 孤立無援の様だが、沖田艦長に倣うしかあるまい。
 諦めない限り、途は拓ける。
 使い古された格言だが、全宇宙に共通の真理だ。

 折角の招待だ、有効に活用させて貰おう。
 敵の本拠を見学するのも、一興ではないか?
 暗黒星雲の内部には、足を踏み入れた事が無いからね」
 星の女王が驚き、瞳を丸くした。


 潜宙艦(スペース・サブマリン)は無事、暗黒星雲同盟の首都ティラン宇宙港に着いた。
 銀河系統一の為、情報を収集する絶好の機会を逃す訳には行かぬ。
 サーベラーの腰巾着ラーゼラー、もとい、サーン・エルドレット艦長が先導。
 怯える女王を励まし、敵の本拠へ足を踏み入れる。

「入れ」
 妙に聞き覚えの有る声が響き、頑丈な扉が開く。
 正面の男と視線を合わせた途端、心臓が跳ねた。

 髪の色こそ違うが青い顔、冷酷な鋭い瞳が私を射抜く。
 やっと、分かった。
 何故、私が選ばれたのか。
 私でなければならぬ、重大な理由が存在したのだ。
 眼の前に、私が立っている。

「予定外の邪魔が入ったので、一気に事を運んでしまったよ。
 暗黒星雲同盟の首都、ティラン到着を歓迎する。
 人類の統合を成し遂げ、玉座を君に提供しよう。
 初代皇帝ザース・アーン陛下、永遠に我が忠誠を捧げる」
 私に瓜二つの青色人《ブルー・マン》、敵の首魁が拝謁の仕草を真似る。
 ふざけた態度の男は頭を上げ、私を見て笑った。

「冗談は、止めて貰おう。
 大帝を暗殺した真犯人は、誰だ?」
「失礼した、君が立腹するのも当然だな。
 不快な思いをさせてしまった事は、謝る」
 フォマロート王国の最高君主、リアンナ姫が柳眉を逆立てた。

「謝って済む問題じゃないわ、なんて図々しい男なの!
 無礼にも程があるわ、この、狼藉者≪ならずもの≫!!」
「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや、だな。
 君達に銀河系の統一、人類の統合が出来ないのも無理はない。
 私は己の腕と才覚のみで、数年の内に銀河系を統一してみせる。

 恒星王国《スター・キングダム》は互いに裏切り、競争相手を脱落させる隙を窺っている。
 敵の敵は味方の鉄則《ルール》に基き、私に与した野心家も多い。
 高貴な血統を誇る帝王家は澱み、潰え去る運命《さだめ》さ。
 秩序の破壊者と謗られても、一向に構わん。
 話が逸れた、物事は建設的に進めたい」
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