第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
七月二十六日・夜:『スクール』
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に呻く。潰れた肉と砕けた骨、噴き出す血液を抱えて蹲る。
果たして、『念動能力』の類いだろうか。それを為したゴーグルの少年が、帝督の前に歩き出ながら口を開く。見下すように、静かに笑いながら。
「まっ……待ってくれ……! 分かった、渡すから」
「なっ……ジャーヴィス、アンタ!」
「……超巫山戯んじゃねェです!」
「そりゃ、こっちの台詞だ……命よりも大事なもんはねェ……頼む、助けてくれ!」
それに痛みに声を上擦らせつつ、嚆矢は憐憫を乞うた。フレンダと最愛からの非難を受けながらも腕全体で────銀色の筒を、投げ出して。
「そりゃそうだが……情けない奴だな、お前」
「────……」
拾い上げた、ゴーグルの少年は心底から嚆矢を見下す。頭を地べたに擦り付け、土下座で命乞いする彼を。
「────じゃあな」
見るのも反吐が出るとばかりに右足を持ち上げ、捻り潰す力と共に踏み下ろす。
路面すら踏み抜かん威力で────血飛沫が、路面に打ち撒けられた。
「な─────?!」
その右足を躱しながら、土下座から流れるように右膝を引き────口に銜えて引き抜いた長谷部により切られた……右足から。
「ア、ガァァぁぁッ?!?」
「おやおや、それっぽっちの傷で。その格好はどうやら、虚仮脅しらしい」
『てけり・り。てけり・り』
倒れ、悶えるゴーグルの少年を見下して嘲笑いながら。すっくと立ち上がり、万能細胞による応急処置を済ませた右掌で長谷部を構え直す。
先程、幾許かの『食事』をさせた甲斐があったと言うもの。死体二つ、お陰で手首から先を失わずに済んだ。
「新陰流“滝流”……が、崩し。ぶっつけ本番にしちゃあ上出来か」
「テ、テメェェェ!」
倒れながら、激昂して能力を行使するゴーグルの少年。しかし、痛みと怒りからか、先程ショゴスごと掌を押し潰した演算は得る事も叶わず。
「無駄だ……ショゴス、偃月刀を寄越せ!」
『てけり・り。てけり・り!』
そして、帝督が歩み出るよりも早く。玉虫色の悍ましき彩りを持つ、『賢人バルザイの偃月刀』を左掌に握る。
放たれた圧潰の力、ゴーグルの少年の。しかし、それも第一防呪印『竜頭の印』に阻まれる。軋み、砕かれた虚空に浮かぶ魔法陣。
十分だ、十分に時間は稼いだ。生命力を代償に練り上げた魔力、それを注ぎ込んだ偃月刀を振るうには。
「“ヨグ=ソトースの時空掌握”!」
「ッ────?!」
空間自体を捩じ切る、時空神の握撃がゴーグルの少年を襲い────
「おいおい……何する気かは知らねぇし、どうでも良いけどよ?」
「クッ……
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