DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第二十四話
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3、セモンが117、コハクが108…、《妖魔槍》も、多分全ユニークスキル中最弱だ。加えて、現実世界で武術の心得なんて何もなかったコハクは、そもそも槍スキル自体を使いこなせていなかったように思う。
けど。
そんな自分でも、セモンの事が大好きなのだ。彼のことを愛しているのだ。世界でたった一人の、死ぬほど大切な人の、役に立ちたいのだ。
無力なコハクには、それすらもおぼつかない。
だが――――ガラディーンには、それができる。
彼女には力がある。
多分彼女は、『好き』ではないかもしれないけど、それなりには《主》のことを大切に想っているはずだ。彼女は、たった一度も《主》に対して剣を抜いていない…恐らくあの距離、そして《主》も認める実力ならば、ダメージを与えることが可能であったはずだ…し、彼の強制支配を、どこか受け入れるような雰囲気さえ感じられた。
なら、彼女は言われるまでも無く――――コハク達を、攻撃しに来ればよかったのだ。
力があるのに、どうして使わないのか――――
いや。
そんな建前なんて、本当はどうだっていい。
唯々、コハクは羨ましかったのだ。
大切な人のために振るえる、圧倒的な力を持っている彼女のことが。
「どうしてあなたは……その力を、誰かのために使わないの?」
思わず、口をついて出た疑問。
戦いの最中だというのに、コハクはそう、ガラディーンに問わずにはいられなかった。
質問を受けて、彼女は数瞬黙り込む。
そして、答えは――――
「……大っ嫌いだから」
痛く、簡潔だった。
「観たでしょ、私の能力」
「……自分の姿を変える……?」
ガラディーンから返された問いに、コハクも自らの予測を答える。するとガラディーンは、
「違う。そんな事、やろうと思えばグリーアでもできる。私の力は、『存在の改変』――――より正確には、『訂正・改稿』。さっきまでの《神装変換》は全部これでやったこと。
けどね。本当なら、どんな設定でも『描き替えられる』この力は、決定的な弱点がある。それはね、術者自身の設定は変えられないってこと。
分かる? ――――それ自体が、《設定》なの。私自身が、《設定》なの。もちろん設定したのはあの人。私を縛っているあの人。
本物の私は、もう『違う』のに、いつまでもあの人は『私』を縛り付けているの。
私は、自分がやりたいようにやりたいの。でもあの人は、私にそれを許さない。自分のやりたいように、私にやらせるの。
『縛り付けるのは嫌だ』なんて言っておきながら、何様のつもり!? 私は私、絶対唯一! あなたの言いなりになる人形じゃないの!
大っ嫌い! 大っ嫌い! あなたのこと
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