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その魂に祝福を
魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり3
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親に折り重なるように眠ってしまったフェイトを見やってから呻いた。
「ええ。……でも、世界を救う代償としては安いものなんでしょうね」
 まぁ、確かに。仮にも次元震を起こしかけた犯人を匿うなど、普通に考えても発覚した時点で僕らの首が飛ぶ。いや、その程度では済まないだろうが……それでも世界を救った代償としては安いものと言わざるを得まい。
 それに、所詮は口約束だ。約束を違える事は不可能ではないだろう。今なら御神光も容易く拘束できる。だが、それはできない。それは報復が怖いとかそんな理由では無くて、
(ああ、この際だ。認めてしまえ)
 心の底から不本意だが――それでも。
 血まみれで、得体の知れない『魔物』に侵され、右目さえも失って。それでも、助けてと、おそらくは何度も伸ばされたであろうその手を――今まで誰も掴みかえす事のなかったその手を掴みかえしたその姿。その輝きに憧れを覚えたのは、今さら否定できる事ではないのだから。


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