魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり3
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もはやどれだけの威力があるのかも想像がつかないが。
『嘘!? 本当に次元震が消滅した!?』
エイミィの悲鳴とも歓声ともつかない声が聞こえる頃には、すでに全てが終わっていた。八つのジュエルシードは消滅し――心臓が転じた魔剣もその力を失っていた。
そして、
「ゴボッ!」
心臓を失った御神光は、プレシア・テスタロッサよりも派手に吐血していた。当たり前だ。それは……その魔法の代償は、今度こそ完全な致命傷だった。胸元に開いた大穴からは今も大量の血が溢れ出している。
「いやああああああッ! 光お兄ちゃん!」
『だあああああッ! 泣いてる暇があったら、さっさとオレを使えこのバカ! テメエがいくら泣いたってどうにもなんねえんだよ!』
発狂しかかっているなのはに、リブロムが怒鳴る。
「じゃあ、どうすればいいの!?」
『まずはオレの目元から『雫』を回収しな』
怒鳴り返してくるなのはに対して、リブロムは冷静に言った。確かにその本の目元には、涙のような雫が光っていた。高町なのはは慌ててその『雫』を指先ですくう。
『そしたら、この頁にそれを振りかけろ。一応言っとくが、心臓辺りにかけるんだぞ』
言うが早いか、リブロムは今まで頑なに見せなかったその一頁を開いて見せる。そこに
は、人体図が描かれていた。その人体図にはいくつもの奇妙な図形が記されており……ちょうど右目と心臓辺りの図形は黒く霞んでいた。そこに高町なのはが『雫』を振りかける。リブロムが高町なのはにさせた事は、それだけだった。
『そうだ。それでいい』
確かに雫を浴びた途端、その図形はたちまち色彩を取り戻したが――それだけだ。それに一体何の意味が……。
『それで相棒、調子はどうだ?』
「さすがに死ぬかと思ったな」
傷一つ残らない胸元を撫でながら、御神光は実に気楽な様子で言った。もっとも、そんなのは所詮ポーズだけだ。彼が追っているであろうダメージは、心臓を別としても深刻なはずである。実際に、こちらに近づく途中で崩れ落ちそうになった。思わず支えようと手を伸ばす――が、
「良いか? 契約を破ったらただじゃ済まさないからな」
僕の手を払いのけ――代わりに胸ぐらを掴みながら、御神光は言った。虚ろとなったその右目に睨みつけられ、思わず言葉に詰まる――が、それでも頷いていた。そんな風に睨まれなくとも、今さら頷かない理由はない。それを見届けた途端、御神光の腕から……いや、身体から力が抜ける。どうやら、気を失ったらしい。
「やれやれ……。つくづく徹底しているよ、お前は」
改めてその身体を担ぎあげ――ついでに、確かにその胸で心臓が脈打っている事を確認
してから、小さく呟く。
「……しかし、他の選択肢がなかったとはいえ厄介な取引を交わしてしまったな」
何とか御神光を背負いつつ――母
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