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その魂に祝福を
魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり3
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ったわ。約束する。だからお願い。……次元震を止めて」
 彼らの故郷を守ること。それは本来なら僕らがやらなければならない事なのだから。
「遠く遠く天と地の狭間に生まれしもの――」
 御神光の返事は、その詠唱だった。
「――迫る災禍見据え慟哭響く前に終焉に挑め」
 禁術と呼ばれる、自らの肉体の一部を犠牲とする異形の魔法。だが、
『ダメだよ! この前の炎だって今のジュエルシードを止めるには足りないよ!』
 エイミィが叫ぶ。事実として、あの炎の巨人とて今のジュエルシードをねじ伏せるには力不足だった。根拠がある訳ではないが、明確な世界の終わりを目前にすれば理解せずにはいられない。あの炎の巨人では、滅びゆく世界を救えないのだと。
「――我ら古よりの法に従い捧げるは臓物賜うは剣」
 だが、詠唱は止まらない。深淵の魔力が世界を黒く染め上げて、
「禁忌より這い出し今ここに顕在せよ!」
 御神光は、その右手を自らの胸に突き立てた。
「な――ッ!?」
 その右手によって引きずり出されたのは、ドクドクと脈打つ肉の塊――心臓だった。それは瞬く間に膨れ上がり、形を変えていく。
『禁術エクスカリバー。見ての通り代償は深刻だが、その分威力はサラマンダーの比じゃねえ。ま、禁術中の禁術ってところか。最後まで隠しておく切り札ってやつだな』
「言ってる場合か?!」
 思わずリブロムに怒鳴り返す。その頃には、抉りだされた心臓はひと振りの剣となっていた。どちらも規格外れすぎて実感が湧かないが――その魔剣はおそらく、あの炎の巨人より凶悪な魔力を秘めている。だが、そんな事より、
「心臓だぞ!? そんなものを捧げたら……ッ!」
 死ぬぞ――そんなことは、当たり前すぎて今さら指摘するのも馬鹿げていた。
『分かってるって。オイ、チビ。気絶してる暇があるならちょっとこっち来い!』
 リブロムが八割方卒倒しかかっていたなのはを呼び寄せる。あまり思考が働いていない様子で、なのはがのろのろとこちらに向かってくる。その頃には、ふらりと御神光も歩き出していた。その魔剣を片手に、もはや一つの魔力の塊と化したジュエルシードに向かって。そして、
「……これで、今度こそ終わりだ」
 囁くように呟き、その魔剣を地面に突き立てた。同時、辺り一帯に赤黒い閃光が奔る。
『魔力反応増大! ……測定不能!? そんな、あの炎に合わせて調整しなおしたばっかりなのに――!』
 それに呼応して、虚数空間を貫き現れた巨大な剣がジュエルシードに――それが集まり形成された魔力塊に突き刺さる。さらにそれは、まるで顎を開くかのように大きく左右に分かれ――
「―――ッ!?」
 強引に魔力の塊を引き裂きながら破裂した。その瞬間に解き放たれた魔力は――確かにあの炎の巨人すら容易にねじ伏せるだろう。途方もなさ過ぎて、
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