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その魂に祝福を
魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり3
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。全てを赦すようなその輝きの中で、プレシア・テスタロッサの身体に纏わりついていたどす黒い何かが消えていく。そして、最後に大きな光の塊が吸い出され――それは、ゆっくりと光の右腕へと吸い込まれていった。
「一体何を……?」
 誰にともなく呻いていると、プレシア・テスタロッサを抱き上げた御神光がゆっくりとこちらに向かってくる。
「そら、フェイト。大事にしろよ」
 彼はそのまま、プレシア・テスタロッサをフェイトの傍に下ろした。彼女はまだ生きていた。血を吐いたなどとても信じられないほど静かで穏やかな呼吸の音が聞こえる。
「……うん、うん!」
 プレシアを――母親を抱きしめながら、フェイトが何度も頷く。彼女を取り巻く問題が解決したとはお世辞にも言えないが……それでも、最悪の結末だけは避けられたらしい。
 このこんなはずじゃない世界の中で、彼女の求めた小さな世界が守られた事にはきっと意味がある。そう思えた。 




「寝ちまったか……。まぁ、無理もない」
 程なくして、フェイト・テスタロッサは眠りに落ちた。無理もない。高町なのはとの戦闘、この庭園での戦闘と立てつづけに魔力を消費した挙句、他者によって制御されているジュエルシードに対する封印の強行。その小さな身体にはあまりある負担だったはずだ。
 御神光が治癒魔法を唱えたようだが、さすがにその程度で回復するような疲労でもあるまい。今はゆっくりと寝かせてやるのが一番だろう。
「さて、それじゃあその魔石はそのままお返ししよう」
 フェイトの傍らから立ち上がり、御神光は言った。血塗れだが、思った以上に傷は浅い。もちろん軽傷ではない。満身創痍と言っていいような有様だが……それでも、あれだけのがれきに押し潰された事を――いや、あの状況を考えれば傷は浅いと言っていい。防御が間に合ったということか。だとしたら、つくづく規格外れの戦闘センスだ。
「ええ。そうしてちょうだい」
 母さん――いや、艦長が心底疲れたようにぼやく。それと同時、役目を終えたジュエルシードが静かにその輝きを消した。
「というか、光君。あなた、ジュエルシードを使えたのね」
「さて、それはどうかな。……だが、切り札ってのは最後まで隠しておくものだろう?」
『つーか、あれだけ大見え切った挙句、まんまと妹に負けた身としてはあれくらいの見せ場は用意しねえと恰好がつかねえよなぁ。ヒャハハハハハハハハハッ!』
「ほっとけ。大体、半分はお前のせいだろうが」
 艦長に負けない勢いで、光がため息をつく。よほど不本意な結果だったのだろう。まぁ、そのおかげでまとまった話もあるのだから――やはりこの世界はこんなはずじゃない事で溢れているのだろう。残念ながら。
 ともあれ、積もる話はアースラに帰ってからでいいだろう。光自身は元よりテスタロッサ親子
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