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その魂に祝福を
魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり3
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国の地に移動したらしい。相棒と話している誰かの声は、明らかに今までとは異なる異国の響きだった。それほど長く意識を失っていたとは驚きだ。それとも、この世界の移動手段が速すぎるのか。どちらでもいいが。
「うるさい。黙っていろ」
 どこに向かっているのか。そう問いかける事はできたらしい。ロクな答えは帰って来なかったが。だが、漠然と思った。相棒との別れが近いのだと。
 やれやれ。どいつもこいつも勝手なものだ。
「何を言っている?」
 だから、魔法使いらしく『お呪い』でも唱えておくとしよう。
「馬鹿が……」
 お前がどこにいようが、何をしていようが――必要とあれば必ず助けに行く。
「お前はもう、私に関わらなくていいんだ」
 そうはいかない。何故なら、お前が俺の相棒だからだ。
「うるさい! もう、お前の事など知らない」
 相棒は泣いているらしい。まったく、珍しい事もあるものだ。
「忘れるなよ。相棒」
 消えゆく意識の中で、自分の声だけがはっきりと聞こえた。
「―――」
 相棒の返事は聞こえなかった。他の誰かと話しているようにも聞こえた。だが、関係ない。魔法使いにとって相棒とはある種の呪いのようなものだ。
 だから、相棒()よ。精々思い知るといい。その業は血より濃いのだと。




「やめなさい、プレシア・テスタロッサ!」
 思わず叫んでいた。今さらそんな叫びに何の意味も無い事くらい分かっている。それでも、叫ばずにはいられなかった。
『臨界点突破! 次元断層が――!』
 ディストーションシールドをも打ち砕いて、世界を引き裂こうとすること。
「あなたは私が守ります。私があなたの娘だからじゃない。あなたが私の母さんだから」
 身体をボロボロにしながら、無理な封印を試みるフェイトを焼き払おうとすること。
 私にはそのどちらも止められない。そんな事は分かっていた。
「ごめんなさい!」
 なのはの砲撃魔法すら、荒れ狂う魔力に阻まれてプレシアまでは届かない。単純な出力で言えば、彼女はクロノより上だ。あの子でダメなら、クロノにも私にも打つ手はない。
(こんな結末なんて……ッ!)
 思わず目をそむけていた。結末を見届ける事を放棄して、その身勝手さに後悔を覚えてから――気づいた。まだ、世界は滅んでいない。それどころか、
「やれやれ。お前は本当に無茶をするな」
 カツン、と。まるで楔でも打ち込まれたかのように唐突に。
 世界の悲鳴が……あの得体の知れない『力』すら消え――代わりに足音が響いた。目を開くと、ボロボロになったフェイトをアルフとなのはが抱えているのが見える。ジュエルシードはまだ暴走状態にあるようだったが――それなら何故、世界は滅びなかった?
「遅いよ、光お兄ちゃん!」
 リブロムを抱えたまま、なのはが頬を
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