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尼僧
第一章
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 友人もこのことには頷いた。見れば町並にしろ古く瓦も建物のその手すりも古く町の人達もその服は着物ばかりである。二人も着物だが帽子をしていてそれが文明開化の名残を見せている。
 その彼等から見てだ。何もかもが古いものに見えたのだ。
 それで慶祐は。また言うのだった。
「ねえ、それでだけれど」
「うん、長谷寺へ行くんだね」
「いや、その前に何か食べよう」
 こう言うのである。
「団子か何かをね」
「団子をかい」
「甘いものを食べたくなったよ」
「だからかい」
「うん、何かあるだろう?」
 こう友人に対して問い返した。
「店も」
「丁度目の前にあるよ」
 ここで言う友人だった。それと共に前を指差すとそこに確かに一軒の茶屋があった。
「あそこに入るとしよう」
「はい、それでは」
 こうしてであった。彼等はその店に入った。そのうえで入るとそこは質素でありながら確かな内装であった。黒い木で造られそこに数人の客が共にいた。

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