道化と知りつつ踊るモノ
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分裏切るぞ」
「私を試して来るのなら、田豊の方針上はその策が最善でしょう」
つらつらと現状報告と予想を並べても、全てが彼女の掌の上であるかのよう。大きなため息を吐いたのは彼。
――化け物だな、あんたは。外部にいてなんで其処まで組み上げてやがるんだよ……。
やはり“この世界の覇王”は恐ろしい、と。
彼には朔夜が居てやっと積み上げられた戦場の証明式。答えが先に出ているから、そして朔夜という希代の天才が隣にいたから、その道筋を組み立てられる。
黄巾から思考を積み上げ続けた黒麒麟ならば一人で辿り着けるやもしれないが、今の彼には不可能。
ただ、答えの先……自分がしたい事までは読めないだろうと希望を込めて口を開く。
「策を呑み込んだ上で踏み潰す、ね。曹操殿らしいよ」
「あら、てっきり反対するかと思っていたのだけれど?」
「……危険を冒すな、なんざ言えねぇよ。被害を減らせってのも口に出してやるもんかよ。どれだけの兵士が死のうと、誰か将が死のうと……曹操殿には必要な事で、それをするだけの意味がある。そうだろ?」
「……含んだ言い方ね? 何か別の考えでもあるのかしら?」
違和感を感じ取った華琳の楽しげな瞳が黒瞳を穿つ。
答え合わせをしましょう。思い描いている先が同じでも、手を加えるなら先に生み出されるモノが増えるかもしれない。それを判断してあげましょう、と。
やっぱり苦手だ……心の中で呟いて、彼はいつものように苦笑を一つ落とした。
「最後に俺と曹操殿でする“共同作業”、不可測の事態が無ければ俺が先に示したいんだが……いいかな? 舞台の観客は多い方がいいだろ?」
急に跳んだ話に、雷鳴の如く華琳の思考が巡る。
自分で描いている戦絵図はあった。軍師達がそういった戦の組み立て方をする事も分かっていた。
そして最後に、黒き大徳と覇王で行うモノも、決めている。
――お前はそういう立ち位置を作り上げるつもりなのか……。確かにその方が自然で分かり易い……劉備達に不可測を投げ入れる為には。
彼の思惑でより良い方向にねじ曲がると気付く。もう一つ、気付いたモノがあった。
――ふふ……いいわね。記憶が戻らない間、使いたいモノがあるから欲しい。そういう事、か。
楽しい、と感じた。最後のモノだけは、朔夜と共に描いたモノでは無いと分かったが故に。
その為にわざわざ秋斗自身が、華琳の出迎えに来たのだろうと読み取れたが故に。
「……間違わなかったようで何よりだわ」
「記憶があってもきっとこうしただろうからさ」
細められた目。浮かぶは憔悴と悲哀と憂い。
黒麒麟ならどうしただろうか。そう考え続けた彼には、誰かを傷つける道しか思い浮かばなかった。
いつも誰かを泣かせる事しか出
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